人材教育用語【カ行:キャリア・アンカー】
2015.06.16
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キャリアを展開するうえで、指針となる価値観・概念のこと。エドガー H. シャイン博士によって提唱され、5つのアンカー、3つの質問が一般に普及した。キャリアカウンセラーの必修概念であり、適性診断に活用されている。
リタイアし、時間の余裕ができた世代に人気があるのが、船での長期旅行だそうです。
東京港の晴海や横浜の大さん橋では、高層ビル程もある豪華客船が出港していくのを見る事ができます。
これらの船が各港に停泊する際に、海底に投げ入れるのが錨、アンカーです。
職業選択は、人生に大きな影響を与えます。
人生に準えることも多い船旅、キャリア・アンカーとは何とふさわしいネーミングでしょうか。
シャイン博士によるキャリア・アンカーは
「管理能力」「技術的・機能的能力」「安定」「起業的創造性」「自律と独立」の5つが一般に知られていますが、
その他に「社会貢献」「挑戦」「生活様式」の3つがあり、計8種類に分類されています。
それぞれ「経営者やマネージャーに昇格することに価値を感じる」あるいは、「専門家として能力を発揮する」「一つの職場で安定的に仕事を続ける」などの意味です。
人が仕事を続けていくときに、もっとも大切にしたいものは何か。
これがキャリア・アンカーです。
仕事に向き合う心持ちは、自分らしく生きるために重要なファクターです。
これは世代に関わらず言えることで、ここに納得がいかないままだと、
会社での人間関係や家庭での在り方など、生活のどこかでズレが生じて苦しくなります。
しかし、普段、自分のキャリア・アンカーについて考えることはあまりありません。
まず初めに真剣に模索するのは、社会に出ようとする就職活動の時ではないでしょうか。
けれど、この時の人生観は漠としているのが普通ですし、仕事については“想像”でしかありません。
今の時代、一企業で定年を迎えることが是ではありませんが、
やはり最初に勤める企業・職業はその人の価値を高めるものであって欲しいものです。
大学では就職活動の一環としてキャリア・アンカー診断をすることも多いそうです。
「能力を発揮できることは何か」「何をしたいか」「何に価値を感じるか」
これら3つの質問を繰り返して、”己”を見つめ、錨を下ろすべき場所を決めるのです。
経験を積んだ社会人でも、結婚や子育て、自身の健康や肉親の介護など、生きる価値観は環境で変化していくものです。が、
「それでも譲れない“本質”」があるものなのか。
深度のある概念探究ですが、それだけに働く意味としてはシンプルを極めるかもしれません。
1日の3分の1は職場にいる訳ですから、今一度、キャリア・アンカー模索をしてみては?