問われる企業モラル、コンプライアンスの鍵とは?
2022.03.25
ツイート大手証券会社の幹部が相場操縦で逮捕
SMBC日興証券の幹部が相場操縦による金融証券取引法違反で逮捕されました。
ブロックオファー取引(※)を担う部署と自己売買を扱う部署との間で、
取引対象となる銘柄や目標株価に関する情報が共有されていたとみられています。
※証券会社が立会時間外に大株主から株式を買い取り、不特定多数の投資家に売却すること
実はSMBC日興証券ではコンプライアンス違反の事例は過去にもあり、
2012年と18年にもインサイダー情報を漏らした疑惑で
元役員と元社員が逮捕されています。
そして2022年、今回の再びの不祥事により、
情報管理やコンプライアンス体制の甘さが露となった形です。
事件発覚後、同社社長は記者会見の場で、
「社内規定で定められている報告手順が守られておらず、
コンプライアンス部門などへの相談が適切に行われていなかった」
と社内管理体制の不備を認めました。
なぜコンプライアンス違反が起きてしまうのか?
昨今、企業では自社の信用を失墜させないために、
コンプライアンスに関する取り組みが行われています。
それにも関わらず、コンプライアンス違反の事例は事欠きません。
一体、なぜなのでしょうか。
そこには「不正のトライアングル」(※)といわれる 3 つの要素が関連しています。
※アメリカの犯罪学者ドナルド・ R ・クレッシー( Donald Ray Cressey )が提唱
機会・・・不正が発生する可能性がある状況
不正を行おうと思えば実施できてしまう環境
動機・・・不正を犯す必要性
プレッシャーとも言われ、例えば仕事のストレスや不満なども不正を犯す要因となり得る
正当化・・・行為者が不正行為を是認する考え方
「会社のため」「一時的ならよい」「正当な評価を受けていないから」など自分に都合よく解釈する
コンプライアンス違反は、これらの要素の一つまたは複合的に作用して発生します。
そのため未然に防ぐための手立てを考える際にも、
3要素を手掛かりに検討を始めるとよいでしょう。
しかし、どんなに万全な予防策を立てたとしても、
人が関与する以上、不正を100%防止することはできません。
会社として内部統制を徹底的に整備したから安心、ではなく、
定期的な体制の見直し、社員教育の実施などを通じて、
組織で働く一人ひとりが、「自分こそが会社の代表である」
という意識を持つことが何よりも重要です。