2023.03.13

なぜ日本の残業は減らないのか

あゝ人材教育!3分ななめ読み

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OECDが発表した2021年度の労働時間ランキングによると、日本の年間労働時間は世界28位の1,607時間でした。一方、最下位のドイツは1,319時間と、日本人がドイツ人より288時間も多く働いていることが明らかになりました。

日本政府は、この長時間労働の問題に取り組むべく、2019年より大企業、2020年より中小企業において、残業時間の上限を「月45時間・年360時間」と定める働き方改革を実施しています。その結果、国内においては年々労働時間が減少傾向にあります。

しかしながら、欧州各国と比較すると、日本の労働時間は依然として長いと言えます。特に、超高齢化社会を迎えた日本では、今後労働人口が大幅に減少することが予想されます。そのため、一人ひとりが効率的に仕事を行い、最小の労力で最大の成果を上げることが求められています。

そこで、なぜ残業発が生しているのか、その原因を把握し、より効率的な組織運営を実現することが重要となります。

残業を減らすことができない理由

会議が多い

労働策研究・研修機構が実施した調査によると、残業の主な理由の23%は「仕事の進め方に非効率な要素があるため」でした。具体的には、突然の方針変更や曖昧な指示、煩雑な決裁プロセス、長時間に及ぶ無駄な会議などが原因となっているようです。

特に、会議では結論が出ないまま時間だけが過ぎていく傾向があり、その準備に多くの業務時間を割かれることで、残業が増加しているという指摘がありました。

近年、社内コミュニケーションツールやオンライン会議システムの導入により、業務報告や会議の効率化が進んでいます。しかしながら、資料作成の時間や短い会議の積み重ねなどで、本来の業務時間を十分に確保できていない状況が続いているようです。

残業を良しとする文化

日本の企業文化には、長時間労働を「頑張りの証」とみなす傾向があります。多くの企業では、残業時間が人事評価の指標となっているため、本来の業務時間内に仕事を完了することが困難になっています。

そのため、本来の業務時間を超えて作業を行うことが当然視され、結果として残業時間の削減が難しい状況が続いています。一方、欧米諸国では、長時間労働は「仕事ができない」証拠とみなされ、従業員が業務時間内に仕事を完了できるよう管理されています。

このように、日本の企業文化と欧米の企業文化では、残業に対する考え方が大きく異なっています。日本企業においては、長時間労働を是認する慣習を改め、従業員が生産性を高め、業務時間内に仕事を完了できるよう、働き方改革に取り組むことが重要です。

業務が属人化している


業務の集中化は大きな課題となっています。特定の従業員に業務が偏っているため、その人が不在の際にサポートが入れないという問題があります。近年のリモートワークの増加により、各従業員の業務量を把握することが難しくなっており、互いにサポートし合うことが難しくなっているのも、残業が減らない一因となっています。従業員の業務量を適切に把握し、業務を分散させることが重要です。そうすることで、特定の従業員に業務が集中するのを防ぎ、従業員全体の生産性の向上につなげることができるでしょう。

残業を減らすためにするべきこと

リモワークの普及により、従業員の残業時間やタスクの進捗状況を把握することが難しくなっています。しかし、従業員の健康と生産性を維持するためには、これらの情報を確認することが重要です。

まずは、従業員の残業時間を可視化することから始めましょう。これにより、誰が過剰な残業をしているかを把握し、必要な支援を提供することができます。また、業務の進捗状況を可視化することで、従業員が抱えている課題を特定し、適切な対策を講じることができます。

ただし、進捗状況の報告に時間を取られすぎると、本来の業務に支障が出る可能性があります。そのため、簡潔で効率的な進捗管理ツールや方法を導入することが重要です。これにより、従業員の負担を最小限に抑えつつ、状況を把握することができます。

このように、リモートワークの環境下においても、従業員の健康と生産性を維持するためには、残業時間や進捗状況の可視化が不可欠です。適切な対策を講じることで、組織全体の生産性向上につなげることができるでしょう。

上司が積極的に定時で帰る

残業時間が減らない理由の一つとして、「残業を良しとする文化」が存在することが指摘されています。この背景には、上司が仕事を続けていることから、部下も定時で帰りづらい状況が生まれていることが挙げられます。

そのため、上司が率先して定時で退社することで、部下にも自身も定時で帰ってよいという雰囲気を醸成することが重要です。さらに、書類の依頼や報告、相談などの受付を定時までとするルールを設けることで、組織全体で定時退社を推進することができるでしょう。

つまり、上司の意識改革と組織的な取り組みを併せて行うことが、残業時間を削減する上で効果的な方策といえます。

まとめ

日本の労働人口は減少傾向にあり、この状況下では一人ひとりの業務量が増加し、残業時間を削減することが困難となっています。これらの課題に対処するには、業務の効率化を図ることが不可欠です。生産性の高い組織を実現するためには、まずは残業が発生する根本的な原因を把握することが重要です。業務の見直しや適切な人員配置など、様々な角度から検討を行い、無駄な残業を削減していく必要があります。効率的な業務遂行と適切な労働時間管理を両立することで、働き方改革の実現につなげていくことができるでしょう。

 

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