再現性の高い情報に価値はない
今年はオンラインセミナーが活況です。
コロナの影響で在宅勤務やリモートワークが増え、
離れた場所からでもアクセスできる手軽さにより、
受講の参加ハードルが大きく下がりました。
さて、こうしたセミナーやイベントで価値のあるものとは何か?
ということについて今回はお話しします。
まずセミナーで大事になるのはコンテンツだと思い浮かべる方が多いでしょうが、
今の世の中でオリジナルなものはほとんどありません。
例えば何十年もかけて磨き上げてきた職人芸も機械や言語化の波に押されて希少性がなくなってきています。
数年前の話ですが、ホリエモンの「寿司職人の修行って意味なくね?」
という発言に代表される通り、これまで寿司職人が暗黙知として持っていた知識やスキルが
言語化で形式知になると、誰も背中を見て学んだり目で見て盗む必要がなくなります。
基本的には誰でも同じ技術が再現可能なわけで、
技術そのものに対する価値は低くならざるを得ないということですね。
つまり、寿司の握り方とかやり方そのものに高い価値はなくて、
そんな情報は本でもネットでもどこでも入手可能であり、
ただの情報提供セミナーでは人を満足させることはできません。
ここでは、違う視点が必要になります。
"希少性"と"効率性"の掛け算
価値ある情報とは、希少性と効率性が高いものです。
希少性とはその名の通り、いかにその情報にアクセスするのが難しいかということです。
情報をざっくり3つに分類してみると、下に行けばいくほど数が少なくなるため希少性は高くなっていきます。
①事実(テレビ・本・ネット記事)
②意見・アイデア(ブログ、SNS)
③体験談(口コミ、レビュー)
そして効率性とは、その情報をいかに"時間"と"コスト"をかけずに入手できるかということです。
例えば2018年にテレビ朝日でナスDと呼ばれる一人のディレクターが、
未開のジャングルに行って民族文化を紹介するという番組が大ヒットしましたが、
希少性(ナスDの体験談)は抜群に高かったものの、莫大な時間とコストがかかっています。
テレビなので視聴者がダイレクト課金をする仕組みにはなっていませんが、
もし第三者があれを真似して元を取ろうとすると、見る側は一体いくらお金を払わないといけないのでしょう。
まとめるとセミナーで参加者に最も便益が高いこととは、
『お金と時間をかけずに体験が得られる』
ということに尽きます。
そのため講義やスライド資料そのものにはそこまで価値はなく、
あくまで効率よく体験を得るために必要な準備運動という位置づけです。
(価値がないだけで役には立たないわけではありません。)
オンラインセミナーで体験を与えるのは難しいように思いますが、
参加者同士で意見交換をしてもらう、ワークをしてもらうだけでも
十分に能動的な学習を引き出すことができます。
そこでの体験はただただネット記事を見ているだけでは決して得られないはずのもの。
セミナーを企画する際には、参加者に何を持ち帰っていただくか、
そして、それをどのように与えるかを考えることが大事なのです。
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