今こそ「休み方改革」が必要な理由
2020.08.25
ツイート「休み方改革」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
ゴールデンウィークや夏休み・冬休みなどの中長期休暇の状態を見直し、
休暇の一極集中の解消を図ることを指しますが、
広義では休暇分散化のために企業が有給休暇の取得を促進するなど、
労働者が休みを取りやすい環境をつくっていくための取り組みでもあります。
有給休暇の取得義務化も休み方改革の施策の一つです。
大手総合旅行ブランドの一つであるエクスペディアが実施した、
2018年の世界19ヵ国の国際比較調査によると、日本の有休取得率は50%で、
有休取得日数も世界で最も少ない10日間であることが判明しました。
ワースト2位のオーストラリアですら取得率は70%なので、
いかに日本の取得率が低いかがうかがえます。
なぜ休暇の取得が少ないのか?
日本人は勤勉性、生真面目さを世界から賞賛されることがある一方で、
「休みなく労働する、まるで働き蜂だ」と揶揄されることもあります。
なぜ日本人は有給休暇の取得が少ないのでしょうか。
前述のエクスペディアによる見解では、
他の人が働いている中で自分だけ休みを取ることが申し訳ないという
有休取得に罪悪感を持つ人が多いことが影響しているとみています。
仕事への責任感、周りへの配慮は日本人の素晴らしい国民性ですが、
それが行き過ぎてしまって、このような結果になってしまっているわけです。
今だからこそ問われる休暇取得の在り方
コロナ禍で在宅勤務やリモートワークが拡大した今、
「働く」と「休む」の境界線が問われています。
出社がなくなり、一人で仕事を進めることになったことで、
会社からの評価基準がプロセスから成果に変わりつつあります。
働いている姿を見ることができませんので、
評価されるのは仕事の成果のみということになります。
そして、労働時間という概念が希薄化しました。
肉体の移動を伴う物理的な出退勤がなくなったため、
何時間働いたとしても、成果が出ていなければ評価はされません。
逆に能力の高い人は、1日3時間の短時間労働でも、
成果さえ出せれば高い評価を得ることができるというメリットがありますが、
仕事のパフォーマンスが低い人にとっては辛い環境でもあります。
思うように成果が上がらない人は何とか労働量、労働時間でそれをカバーしようとします。
そうすると四六時中、仕事のことばかりを考えるストレスフルな状態になり、
ますますパフォーマンスが低下していくという負のスパイラルに陥ることになります。
これは成果主義が悪い、という話ではありません。
企業としては働き方がブラックボックス化されてしまった手前、
正当に評価するには成果(アウトプット)で判断するしかありません。
ただ、成果を上げるためには「適度に休む」ことが非常に大切です。
しっかりと休みを取得し、休息・リフレッシュできる環境を整えることで、
ストレスや過労から身を守ることができるのです。
コロナで日本人の働き方、仕事への向き合い方は大きく変わりました。
より長く安定して働き続けられる就業環境を目指すためにも
早急に見直しをしなければならないのは日本人の休み方です。
オンラインでいつでもどこでも仕事ができるのは一見すると良いことばかりのように思えますが、
その一方で休むことの難しさがより一層高まってきています。
会社の「休み方改革」が進めば、社員の生産性も上がり、
社内外からの評判も高まることでしょう。