プロメン物語 第10話 改善に終わりはない
2019.06.11
ツイートプロジェクトで何が変わった?
業務自動化によるミスの削減に取り組んで早3ヶ月。
全社を挙げてのプロジェクトは佳境を迎えていた。
各部署から業務スピードが前年比で10%向上した、
不良品の発生率が0.3%下がったなど、
着実に成果が数字となって表れつつあるようだ。
しかし、その一方で予想外の事象が発生して、
トラブルになるなど失敗事例も度々起きているらしい。
やれやれ、全く一息つく暇もないな。。。
一つの問題が解決したと思ったら、次の問題。
よくもまぁこれだけ問題が尽きないものだ。
僕はひとりごちた。
「あら、なにタメ息なんてついてるの?」
「あぁ、なんだマナミちゃんか。」
「なんだとは何よ、ホント失礼な人ね!」
「ごめんごめん。いやぁ、僕らの会社ってこんなに問題あったんだなと思って。
これじゃあいつまでやっても終わらないよ。」
「そうね。でもその分だけ会社は確実に良くなってきている。そう思わない?」
それに、とマナミちゃんは付け加えた。
「良くなっているのは会社の業績だけじゃない。私たち社員だって変わり始めているのよ?」
確かにそうかもしれないな、と僕は思った。
周りを見渡してみれば、社員一人ひとりがイキイキと働いている。
忙しそうではあるけれど、嫌な雰囲気ではない。
何だかみんな楽しそうに仕事をしている。
「私さぁ、このプロジェクトに入って本当に良かったと思ってる。
大変なことも多かったけど、やりがいっていうのかな。
途中からは楽しくて楽しくて仕方がなかったの。
だから、このプロジェクトがもうすぐ終わりなんて、ちょっと寂しいわね。
………それじゃ、そろそろ仕事に戻るわ。加賀くんといるとサボっていると思われちゃうし。」
「なんだよ、それ。ひどいなぁ。」
「ふふっ、冗談よ。さっきのお返し。じゃあね!」
そう言ってマナミちゃんは颯爽とデスクに戻っていった。
会社もマナミちゃんも変わり始めている。
僕はこの1年間で変われたのだろうか。。。
明日はいよいよプロジェクトのレビュー会だ。
プロジェクトが来期も続くのかどうか、それはまだ分からない。
全ては今回の結果次第、ということなのだろう。
ただ、継続するとしてもおそらくメンバーは交代となるはずだ。
そうしたらマナミちゃんとのプロメン生活もこれで終わりか。
「おい!何そんなとこに突っ立ってんだ。もう昼休み終わりだぞ!」
「すみません、志村さん。すぐ戻ります。」
「まったく、いつまでも去りゆく女の後ろ姿を見つめるとは女々しいやつめ。」
「あっ、ひどい。見てたんですね。」
「そりゃ先輩として、後輩のことを注視するのは当然の責務でしょー。」
注視ってより監視に近いですよ、先輩の場合は。
と喉まで出かかったけど言うのは止めた。
うるせーよ、って言いながら頭を小突かれるのが目に見えている。
さて、気持ちを切り替えて午後もはりきって仕事をするか。
次回予告
プロメンからの卒業