2024.01.24

男性育休義務化の新設で職場は大混乱!? 他人事じゃすまされない、今から出来る準備と対策<その③>

ダイバーシティのプロが呟くアレコレ

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前回「男性育休義務化の新設で職場は大混乱!? 他人事じゃすまされない、今から出来る準備と対策<その②>」のコラムでは、日本の企業の現状として、男性社員と女性社員で仕事の割り当て方に差があることが多いため、男性社員が一定期間休むことに対して、2週間程度の短い準備期間では、企業が大混乱に陥るのではないか、ということを指摘しました。

では、何をどう対応すればよいのでしょうか。具体的に考えていきましょう。

準備期間を十分にとる

2週間前の「出生時育休」申請より以前に出産予定日を知っておけば、職場が混乱しないよう準備することができます。対応の選択肢も増やすことができるでしょう。そうするためには、子どもが生まれる予定の男性社員をいかに早く把握するかがカギになります。

筆者がお伝えしたい出生時育休の準備期間を十分にとるためのポイントは5つあります。残り3回の連載のなかでお話していこうと思います。まずは2点ご紹介しましょう。

トップダウンで推進

1つ目はトップメッセージです。

「育児休業法の改正で、当社も子どもが生まれる男性社員に育休を取得してほしい」、

「子どもが生まれる予定の社員は、可能な限り早く職場に伝えてほしい」、「会社は子育てと仕事の両立を支援する」と社長や担当役員が社内に繰り返し発信することです。

これまでは、「男性社員に連続で休まれると困るから制度を使ってほしくない」とか、「制度はひっそりと見つからないようにしておきたい」という経営陣も多かったのではないかと思います。実際、厚生労働省の調査では、6割を超す企業が男性社員に育休を働きかけていません。

しかし、改正法施行のおりには、会社から制度の案内をしなければなりません。

子どもが生まれて出生手続きの時に会社が知るのでは遅すぎる、会社は歓迎しているから妊娠時期から教えてね、とすれば数カ月前から対応準備ができるようになります。

職場の混乱を避け、安定的な職場運営を行う上では、こうした男性育休へのポジティブメッセージが必要だということです。

4人に1人がパタハラを受けている

2つ目は、アタリ、ハズレのボスを作らないことです。

トップがポジティブメッセージを発しても、直属上司が出生時育休にネガティブだと、男性社員はやはり子どもができることを職場に伝えづらく、結果的に出生情報の入手が後手後手になってしまいます。

そして残念ながら多くの管理職は、部下が育休で休む経験をあまりしていません。労働関連のデータを見る限り、(特定の業種を除いて)職場の女性正社員比率が低いために、育休を取得する女性社員を部下に持った経験が少ない管理職が多いことが想定されるからです。また、男性社員は正社員である場合が多いですが、男性の育休の取得率は低いので、男性部下が育休を取る経験は尚更ないでしょう。

「いや、私は男性の育休には協力的だし、経験したことがなくても適切に対応できる」と自負する管理職もいるかもしれませんね。

しかし、実際、厚生労働省の調査(令和2年度職場のハラスメントに関する実態調査)では、過去5年間に勤務先の育児にかかわる制度を利用しようとした男性労働者の4人に1人が、育児休業等に関するハラスメントを受けたことがあると回答しています。

また、ある大手化学メーカーのパタハラ疑惑がSNSで投稿され、会社名が明るみになると、株価が年初来安値を更新しました。

自分はそのつもりがなくても、ハラスメントと受け取られているリスクもあります。また、ハラスメントをするようなボスを一人でも野放しにすると、パタハラを受けた社員がSNSで公表できる時代でもあります。

「このボスなら育休を言い出しやすいが、あのボスはハラスメントされそうだ」といった、直属の上司が“アタリだった”“ハズレだった”という状態は、組織としても風評や悪評を始めとする、様々なリスクにさらされる危険をはらんでいます。

また、改正法により、男性が育休を希望し取得することが一般的になっていくことは、管理職にとってストレスとなることもあるしょう。情報不足なばかりにハラスメントの加害者になってしまうリスクはどの管理職にもあります。

では、アタリ・ハズレのボスを作らないためには、どうすればよいのでしょうか?

<執筆>
東レ経営研究所 ダイバーシティ&ワークライフバランス推進部
チーフコンサルタント、NPO法人ファザーリング・ジャパン理事:塚越 学

 

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