日々業務を進めていくと、自身の得意分野や専門的なスキルを身に着けることができるようになります。
しかし、身につけたスキル・ノウハウを社内や組織で共有できていますか?
特定の業務に対してできる人が限られてしまい属人化が進んでしまいがちです。
そうすると、その人が退職や異動となったときに代わりに対応できる人がいなくなってしまい、業務がストップしたり、時には顧客との関係にも関わってきます。
そうならないために、スキルトランスファーを行うことが大切になってきます。
スキルトランファーとは
スキルトランファーとは個人で持っているスキルを周囲に引き継ぐことを指しています。
引き継ぐスキルというと、技術面や手順をイメージしやすいですが、仕事への心構えや感覚といった抽象的な内容も含まれています。
スキルトランスファーの質を高めることは、業務の属人化をなくすことやチームや部署全体の底上げ、業務効率の向上を目指すことが可能です。
特に急速に変化する時代においては、「目に見えない要素」を含めて継承し、どの時代でも有用なスキルを身につけることが重要となります。
ナレッジトランスファーとの違い
スキルトランスファーと似た言葉で「ナレッジトランスファー」があります。
ナレッジトランスファーは、組織内で蓄積された知識や情報、ノウハウを他のメンバーや部署と共有するプロセスを指します。どちらも知識を共有・伝承する際に使用する言葉のため、意味の違いはほとんどありません。
メリット
・個々の成長
新入社員や若手社員、経験がまだ浅い職員に対してスキルやノウハウを引き継ぐことによって成長の支援になります。
職務歴は浅い職員が戦力として活躍するまでには時間がかかってしまうものです。そこで、経験豊富な社員のスキルは重宝されます。
また、引き継ぐ側の社員もわかりやすく説明するスキルや理解が深まります。引き継ぐ側・引き継がれる側の双方のスキルを向上につながるでしょう。
・業務生産性の向上
チームや部署・社内全体でスキルトランスファーを行うことで、ノウハウを蓄積することができます。
スキルが属人化していると、そのスキルを持っていた社員が退職した場合、対応できる人がいなくなったり業務効率が低下することが考えられます。そうならないために、ノウハウを蓄積し、誰でも取り出すことができる環境にしていくことが重要です。
顧客との信頼の保守
人事異動や退職により担当者が変更になった際、サービスや提供の質が低下すると、顧客からの信頼は失われてしまいます。他の企業に乗り換えてしまうといった最悪なケースも考えられます。
事前に顧客との過去のやり取りや情報をしっかりと引継ぎしていれば、信頼関係を崩さずにすむでしょう。
スキルトランスファーの進め方
・連続移転
業務から得た知識やノウハウを同様の業務においても活用できるようにする手法です。
例えば、担当者が変更する際に、前任者から業務内容や注意点を引き継いだり、同じ部署の上司や先輩が後輩や若手社員を教育することです。
また、部署内のメンバー同士が情報を共有し合ったり、若手社員が得た気づきや知見を上司が参考にする場合も連続移転の一環です。連続移転を進めるためには、チーム内で定期的なミーティングを行ったり、情報共有の機会を設けることが重要です。
・近接移転
近接移転とは、ルーティン業務から得たノウハウを他チームの業務でも活用できるように移転することです。異なる業務でも活用できるノウハウだけを抽出して、使用しやすい形に整理してから移転する必要があります。
近接移転を行う場合、メールや電話だけではなく、情報共有ツールを利用して伝達を行う方法が推奨されてます。
・遠隔移転
遠隔移転とは、言語化が難しいノウハウを他の社員でも活かすことができるように移転することです。
マニュアルを作成等では伝達が難しい者に対して実際に操作するなど手を動かして教えたり話し合いの機会を設ける必要があります。
・専門知移転
専門知移転は専門的なノウハウを他の社員でもできるように伝達する方法です。
上記でも述べた業務の属人化を防ぐことができ、社内全体の業務生産性の向上につながるでしょう。一度、ノウハウを豊富に持っている社員に勉強会を実施してもらうなど、しっかりとインプットする機会を設けることが重要です。
・戦略移転
戦略移転とは、他の移転よりも活用頻度は低い業務でのノウハウを移転する方法です。
活用頻度が低いからこそ、最もノウハウが属人化をしやすく、後回しにされやすくなります。その分、活用する際にしっかりと引継ぎをできる体制を作っておく必要があります。
スムーズにスキルトランスファーを行うために
・移転範囲を定める
まず、移転範囲を明確にすることです。一度ですべての情報を共有するのは効果的に引き継ぐことは難しいものです。
優先的に引き継ぐべきものを精査し、徐々に移転範囲を増やしていくのが良いでしょう。
・社員のメンタルケア
最も注意したいのが、社員のメンタルケアです。引き継ぐ側としては、時間をかけて身に着けたスキルを簡単に渡すことに抵抗を感じる人もいます。ただ、共有してほしい人に「ノウハウを共有して。」とお願いするのではなく、共有する理由やメリットを併せて伝え、少しでも負担をかけないように心がけましょう。
まとめ
今回述べたことは、社員個々の成長・企業の成長の双方に関わる部分です。
ノウハウの共有をし、上手く活用できるまでのプロセスを見越してスキルトランスファーを進めていきましょう。
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