1.研修内製化という潮流
昨今の研修内製化の流れは、教育経費の削減という、経営の現場からの要請に沿うものとして、実に自然な流れです。本シリーズでは、この「研修内製化」にスポットを当て、どのように進めるべきか、メリットやデメリットを考えながら、皆さまと考えていくことにしましょう。
2.企業の成熟度がわかる内製化
ソフトバンクが内製化に成功した事例として脚光を浴びていますが、たとえば、製造業や重厚長大産業など歴史のある大企業からすると、研修を自前で行うことは、それほど特別なことではないという事実も存在するでしょう。
ソフトバンクの場合、会社創立から35年ほどしか経過しておらず、フレッシュな企業と言えます。その成長の仕方は、次々にM&Aを繰り返しすさまじい進化を見せてきました。まさに、グループ代表の孫正義氏の経営手腕によるものであることは間違いありません。その成長の早さから見ると、日本を代表する企業と言っていいでしょう。じっくりと拡大してきた老舗企業としては、想像もできない躍進ぶりで、事業計画に取り組む時系列的スパンが全く違うというものです。
ソフトバンクの研修内製化は、その成長の早さがゆえに、期待される企業人をいち早く養成し活躍してもらい、事業とともに融合的に拡大していくという、企業の進化そのものを背負った土台の上にある内製化と言えます。そのため、具体事例も、ソフトバンクに伍する企業でなければ、そのまま使える事例にはならないと思われます。もちろん、取り組み方や、考え方のヒントになるものはあるでしょう。どこの部分を、真似するか、取り入れるかは、企業によって、千差万別と言えるでしょう。企業ごとに、特色を持った育成の理念と手法があるものです。
3.教育の本質は、 1対1から
世界的な企業であっても、最初は、数人で、あるいは創業者一人という創業期が存在します。企業における人材教育の始まりは創業者からの伝達であり、どの企業も自分で始めること、すなわち内製から始めているわけです。
内製化を必要とするということは、企業が成長し、さらなる成長の過渡期にある状態ということもできます。
このシリーズでは、そんな企業を想定して、「研修内製化」をどのように取り組んでいくかを考証します。
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