HRD用語【ダイバーシティマネジメント】
2015.02.19
ツイート多様な人材を積極的に活用しようという考え方のこと。
性別や人種の違いに限らず、年齢、性格、学歴、価値観などの多様性を受け入れ、人材の有効的活用を進めることで生産性を高めようとするマネジメントをいう。 企業がダイバーシティを重視する背景には、有能な人材の発掘や斬新なアイデアの喚起、また、強固な組織の確立を掌握しうるマネジメント手法とされるからである。
ダイバーシティマネジメントという考え方は、もともとアメリカを中心に広がりました。
多民族国家であり、人種をめぐって悪しき習慣が色濃く残っていた1960年代のことです。
マイノリティと認知された人が、それだけを理由に理不尽に虐げられていたことは周知の事実です。
日本は多民族国家ではありません。
民族間のいさかいがそれ程なく、言語や習慣がほぼ統一されていた事は、日本の発展に大きく寄与してきました。
日本企業的ヒエラルキーもこの事実が生んだ当然の枠組みで、当初ここに違和感はなかったものと思います。
しかし、経済を軸に世界は間近になり、年功序列や男性優位などの日本特有の考え方は認識を改めることとなりました。
また、1990年代後半に導入が進んだ成果主義は『個』の時代の到来を告げます。
その後、行き過ぎた年俸制はコスト面で破たんを見るわけですが、人の『個性』に価値があるという考え方は、企業内にある程度根付いたのではないでしょうか。
日本経済は成長過多で、商品の種類、量ともに国内の供給量を超えて生産されています。
この隙間をぬってヒット商品を世に出すには、かつてと異なる視点や発想力が必要となります。
日本のダイバーシティマネジメントはこうした市場を背景に重視されはじめました。
ですから『ダイバーシティ』という言葉そのものは、多様な消費者ニーズを指す事も多いのです。
年齢や性別によって求めるサービスは違います。
企業はこの様々なニーズに応えるために、企業内のダイバーシティを認める方向に動きました。
さて、実際のところ、日本企業のダイバーシティマネジメントは「性差」に目が向くことが多いようです。
女性の活用によって組織風土を変革し、新しい視野を手に入れようとするものですが、今とは違う仕事の仕方を望んでいるのは女性ばかりではないと私は思います。
ワークライフバランスにも関係するこの問題は、ステレオ的にくくる事はできません。
個性を主張する側とその個性を利用する側。
互いのバランスを取りながら組織目的を保つには、企業側のきめ細やかな対応が不可欠です。