未経験でも乗り切れる、ファシリテーションのコツ(マインド編)
2020.01.10
ツイート時代が必要とする「ファシリテーション」能力
働き方改革による業務効率化や、企業のグローバル化、ダイバーシティなど、急速なビジネス環境の変化とともに、「ファシリテーション」の重要性に注目が集まっています。
ファシリテーションとは、組織や集団のメンバー同士の合意形成や相互理解を促して、集団活動が円滑に進み、成果が上がる環境整備を支援する手法のことです。
ファシリテーションが十分に機能すれば、短時間の会議やミーティングでも、有意義な提案や、業務改善または問題解決につながる明確な方向性を打ち出すことができます。参加者も、節約できた時間を本業に振り向けることができるので、企業全体としての生産性向上につながります。
ファシリテーションを支える2つの側面:ファシリテーションスキルとマインド
集団活動の円滑な進行を直接的に支援するのは、ファシリテーターが身に付けたファシリテーションスキルです。このスキルが存分に発揮されるには、どんな状況下に置かれても、冷静沈着、中立な立場で議事を進行できるように、ファシリテーター自身のマインドが日頃から鍛錬されている必要があります。
次項では、効果的なファシリテーションの土台となる「マインド面の心得」と「マインド面のトレーニング」をご紹介します。
ファシリテーションの屋台骨① マインド面の3大心得
多様な参加者で構成される会議やミーティングでは、さまざまな意見や個性がぶつかり合って、時に会議のスムーズな進行を妨げたり、強い主張やネガティブな意見に流されてしまったりすることもあります。
こうした環境の中でも、我を忘れることなくファシリテーションを取り仕切るために、常に心掛けるべきことがあります。
常に中立的立場であること
ファシリテーションは常に中立的な立場で会議や集団活動を支援する必要があります。
さまざまな意見の対立を調整して、積極的な意見交換や合意形成、深化した意見の引き出しなどを促す役割を果たすためには、参加者同士の上下関係や、勢いのある意見、その場の雰囲気に流されることなく、地に足をつけて中立性を保つ心構えで臨むことが大切です。
偏りがないよう、参加者に対して配慮する
参加者全員が公平に意見交換できるように配慮を怠らないことも、ファシリテーションの重要な心得です。
一部の参加者だけに発言が偏っていないか、発言したい素振りをしている人はいないかなどに配慮して、さまざまな意見で議論が活性化するように仕向けます。
出てきた意見を広げる糸口を模索する
ファシリテーションでは、参加者から発言された意見を糸口にして、より深化した意見の創出につなげられるように、常に模索するスタンスも必要です。
あらゆる意見を傾聴しながら、斬新なアイデアや、議論を活性化させる余地のある意見をすくい上げて、発展的な議論や革新的な結論に導くことができるのもファシリテーションの醍醐味です。
ファシリテーションの屋台骨② マインド面の3大トレーニング
混乱した状況でも平常心で粛々と役割を遂行できるように、マインドトレーニングを日頃から励行し、内面を整えておく必要があります。
内面を整えて、集中力を高める
ストレスフルな環境下であっても、ファシリテーションによる結果が求められます。そのためには、自己の集中力を高めて、自分らしく振る舞うためのマインドトレーニングを習慣付けるとよいでしょう。
日常生活でも、業務中でも、何かに取り掛かる際には、一呼吸おいて自分の内面を平静に整えながら集中力を高めます。この状態で自分の目的や役割を再確認し、やるべきことを冷静沈着に遂行します。
このトレーニングが習慣化されれば、実際に議論が紛糾したり、混沌とした状況に陥ったりしても、常に自分の役割を見失わずに、議事をコントロールできるでしょう。
違う視点で物事を見る
想定外の事態や意見に遭遇した時でも、「そんなやり方があったのか」「この意見のおかげで新しい展開になる」と、自分とは「違う視点」で物事を見られるようにトレーニングします。
会議や集団活動でのファシリテーションは、多様な意見に耳を傾けて、受け容れることから始まります。自分の考えに固執せず、多面的な視点を習慣化できるようになることが肝要です。
感情の動きに敏感に反応し、それを言語化する
自分の中の感情や身体的な変化を感じたら、それを都度「言語化」することで、その時々の感情に踊らされず、自分自身を客観的に見ることができるようになります。
会議の中で、参加者の威圧的な態度や声色などに、自分の感情や身体が敏感に反応してしまった場合でも、「自分は緊張している」「動揺している」または「恥ずかしくて紅潮している」などと頭の中で言語化すると、自分を冷静に分析できて、落ち着けるようになります。
ファシリテーション成功の土台は鍛えられたマインド
ファシリテーション成否の鍵を握るのは、経験の有無ばかりではありません。
冷静・中立な立場で議論を支援するために、日頃からマインドトレーニングを習慣付けること。その上でファシリテーションのテクニックを学んで実践すれば、有意義な議論に導くことができるでしょう。