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新入社員研修の効果測定-目的の達成度を可視化するノウハウ

2020.04.03

内製化した研修であれば、なおさら「研修を実施した」という自己満足に終わらないようにするべきでしょう。それには、研修効果を測定し、結果をフィードバックさせるまでを一連のサイクルであると考え、研修の目的に適した効果測定を行う必要があります。

研修効果の目的と測定方法の4分類「カートパトリックの4段階評価法」

新入社員研修の効果を測定するには、効果測定の基準となる研修の目的が明確でなければなりません。この点に関しては、社内で新入社員研修を内製化する際に、目的をはっきりさせた上で、研修プログラムを設計していれば問題にはなりません。

一般的には、結果が数値で現れにくい研修は、効果を測りにくい領域とされています。このような、わかりにくい研修効果を測定する基準をフレームワーク化したものが「カークパトリックの4段階評価法」です。

この評価法は、米国の経営学者 カークパトリック博士が、教育の目的や効果を評価するために、1959年に提案したモデルです。このモデルは、現在では、人事・教育領域で広く活用されています。

カークパトリックの4段階評価法の特徴は、誰もが理解できるように明文化されていることです。この評価法を簡単に表すと以下のようになります。

レベル1「Reaction(反応)」
→受講直後にアンケートを実施して、研修内容に対する満足度を問う

レベル2「Learning(学習)」
→テストの実施やレポート提出によって、受講で得た知識の定着度を測る

レベル3「Behavior(結果)」
→受講内容を現場で実践できていることを確認する

レベル4「Result(結果)」
→受講して学んだことが実践され、業務指標などの結果に反映されている。

4段階評価法の運用上の注意点

内製化された新入社員研修はいくつかのプログラムで構成されます。まずは、それぞれのプログラムの目的を、レベル1~レベル4に分類します。

レベル1…研修実施後のアンケート調査

研修を実施する企業の多くは、集合研修実施後やe-ラーニング後にアンケートを実施し、効果を測っています。

アンケートは、研修内容の満足度、研修内容の難易度、研修時間の長さ、講師の教え方などの基本的な質問を中心に作成されます。アンケートの質問事項は、研修コンテンツの特色にあわせて、追加または削除されます。

受講者から得た回答をもとに、次回以降の研修コンテンツや実施方法、社内講師の配置あるいは講義の進め方について、適宜見直しが行われます。

※注意点※

もっとも一般的な効果測定方法であり、どのような研修プログラムであっても、少なくともレベル1は達成されるべきでしょう。

レベル2…学習の成果をテストなどでチェック

e-ラーニング教材では、レベル1のアンケートと同様に、受講後の理解度確認テスト機能を備えているものが多くあります。座学で行う知識習得型研修の大半は、レベル2に該当します。

レベル2の代表的な例としては、英語学習、簿記、ビジネススキルなど、知識や各種スキルを学ぶ研修プログラムが挙げられます。

※注意点※

研修直後のテスト実施やレポート提出は、学習直後で表面的には得点率が高くなります。研修内容の定着率、あるいは正確な研修効果を測るためには、2カ月後または3カ月後など、一定期間をあけてもう一度テストを実施すると、正確な定着度合を測定できます。

レベル2の効果を高めるためには、受験者自身の習熟度を相対的に可視化できる仕組みも必要です。テスト実施後に点数を出して終わりにするのではなく、受験者全体の中での順位や偏差値、ヒストグラム(度数分布)を出す方法も考えられます。

レベル3…配属先で実践できているかを確認

研修プログラムの目的が意識改革や行動変容であれば、レベル3に分類されます。

受講者が学んだことを実際の行動に反映し、それを意識や行動の一部として定着させるには時間が必要です。そのため、レベル3の効果測定は回顧調査を基本とし、研修後一定期間が経過してから実施します。

受講者本人へのインタビュー、アンケート、または具体的な指標、例えば改善提案件数や改善案実施件数などに対する達成件数をモニターして、研修で学んだことを実践できているかをチェックします。

※注意点※

レベル3の効果測定は抽象的な目的を評価する場合が多く、評価が複雑で難しくなりがちです。そのため、効果測定した結果を可視化できるように工夫する必要があります。

研修主催者である人事・研修担当部門で、レベル3の回顧調査がしやすくなるように指標を設定し、数値化して効果を測定できるようにする方法が一般的です。

受講グループと非受講グループに分けて、同じ設問の回顧調査を行い、効果を比較することで、研修による効果を相対的に評価することもできます。

研修前の事前調査と研修後の回顧調査で、意識や行動に関する指標にどの程度の変化が見られるかを数値化できると、さらに効果を測定しやすくなります。

レベル3の効果測定でもっとも重要になるのが、配属先の上司や先輩社員からの協力です。人事・研修担当部門が、こうした協力者に対して、研修後の受講者へのフォローを定期的に喚起することも必要になります。

新入社員にとっては日常の業務に慣れるだけでもかなりの負担です。受講者本人が自主的に学んだことを実践するのが本来の形ですが、職場の上司や先輩社員からのフォローによって、行動改革や意識改革が促されると、一層の効果を期待できます。

レベル4…研修受講から業績指標に対する達成度測定までを総合的に判断

研修の目的が業績アップや生産性向上などの業績指標と結び付く場合は、レベル4に分類されます。

レベル4の目的や目標設定となる業績指標は、何をもって効果とするのか、配属先の上司と事前に入念にすり合わせを行います。

※注意点※

レベル4の目的は、レベル4の研修プログラムだけの効果で達成されるわけではなく、年間をとおした事業活動の結果現れる性質のものです。

レベル4の業績指標で一定の評価を得るためには、カークパトリックモデルのレベル1~レベル3までが達成されていることが前提になります。

レベル4で効果測定がクリアされていても、レベル2やレベル3が未達成の場合もあります。

レベル4の効果測定結果については、総合的な観点から考察・判断される必要があり、研修プログラム単体での効果測定は技術的に困難であるといえるかもしれません。

社員目線と研修主催者目線の双方から研修効果を検証する

新入社員研修の効果を測定し、内製化した研修コンテンツの充実や、技術的なノウハウの蓄積を図ることは、研修の実施と同等に重要です。

とはいっても、研修主催者目線での研修プログラムの改善ばかりにとらわれてしまっては片手落ちです。新入社員が業務を円滑に始められるように人材開発するという、新入社員研修本来の目的を達成できているかを、社員目線で検証する姿勢を忘れないようにしましょう。

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