自身の無意識の認識であるアンコンシャス・バイアスは、一見すると自身でのコントロールが難しいように感じるのではないでしょうか。しかし、ポイントを抑えればアンコンシャス・バイアスへの対策は十分に可能です。
今回は、アンコンシャス・バイアスへの対策方法をご紹介します。
そもそもアンコンシャス・バイアスとは?
アンコンシャス・バイアスとは、「無意識の思い込み」や「無意識の偏見」を指します。考える以前に起こる知的連想プロセスであり、過去の経験やこれまで見聞きした情報を元に思考されます。
アンコンシャス・バイアス自体は誰もが持っているものであり、アンコンシャス・バイアス自体に良し悪しはないとされています。しかし、日々の行動や言動として現れた際に、相手を傷つけてしまう可能性があります。
アンコンシャス・バイアスのパターン
では、具体的なアンコンシャス・バイアスの対策方法を見ていく前に、アンコンシャス・バイアスのパターンをご紹介します。
アンコンシャス・バイアスにはいくつかパターンがあるため、パターンを通じて自身の傾向を把握することが大切です。
一貫性バイアス
好意的バイアスとも言い換えられるアンコンシャス・バイアスで、自身が一度好意的な感情を抱いた相手に対しては、全ての言動や行動が良く見えるというバイアスを指します。
異性や芸能人など、自身が良い感情を持つ相手に対して作用するバイアスです。
ステレオタイプバイアス
カテゴリーや属性に対して、一定の人物像を抱いてしまうアンコンシャスバイアスをステレオタイプバイアスといいます。「関西人は面白い」「インド人はカレーが好き」など、先入観や固定観点が出やすいバイアスである点が特徴です。
アンコンシャス・バイアスの中では、最も一般的なものとされています。
確証バイアス
先に想定した結果に即したデータが立証する結果だけを集めることで、仮説や先入観を実証しようとするアンコンシャス・バイアスを指します。
人間は、誰もがあらかじめ持っている先入観や仮説に合致した証拠を集める傾向があるとされています。確証バイアスは最たる例として、自身に都合が悪い情報をそもそも集めにいかなくなるとされています。
正常性バイアス
正常性バイアスは、自身にとって都合が悪い情報を過小評価してしまうアンコンシャス・バイアスです。良い・悪いといった状況に関係なく、自身の想定外の事象が発生した際に、現実を受け入れず、事実を過小評価してしまうバイアスを指します。
「まだ大丈夫」という認識の元、現実の状況は悪化してしまう可能性が高いアンコンシャス・バイアスです。
アンコンシャス・バイアスの対応方法
アンコンシャス・バイアスには、様々なパターンがあります。ではこれらに対応するためには、どのような対応が必要なのでしょうか。アンコンシャス・バイアスへの対応方法をご紹介します。
自己認識を把握する
アンコンシャス・バイアスに対応する際にまず大切なのは、自身のアンコンシャス・バイアスを把握することです。何らかの対応をしようとしても、自身のアンコンシャス・バイアスが分からなければ適切な対応をすることはできません。
先にご紹介したアンコンシャス・バイアスのパターンの中で、自身はどのようなパターンが多いでしょうか。全てのパターンに該当する人はもちろん、一部のパターンに偏りがある可能性もあります。まずは自身が陥りやすいパターンを把握するのがオススメです。
その上で、アンコンシャス・バイアスは自己防衛であるという意識を持ちます。自分にとって都合の良い解釈をすることで、安心をもたらそうとする脳の正常な機能を理解し、自身のアンコンシャス・バイアスを意識して認識してみましょう。
メモを取る
より客観的にアンコンシャス・バイアスを認識するために、コミュニケーションにおいてメモを取るようにすることが非常に有効です。
メモには相手とのコミュニケーションの内容と、それに対する自身の感情を書いていきます。そうすると、相手のリアクションや表情から自身がどのような感情に陥り、その感情が実はアンコンシャス・バイアスではないかということを検証できます。
確証バイアスのように、頭の中で認識するだけでは自身の都合の良いように解釈してしまう可能性があります。したがって、メモに書きながら可視化することで、自身のアンコンシャス・バイアスを正しく認識することが可能になります。
決めつけない
相手とのコミュニケーションにおいて大切なのは、決めつけないことです。
「普通は〇〇だよね」「あなたの世代は〇〇しているよ」など、いかにも他者全体の総意のようにコミュニケーションを行うことは容易ですが、広くステレオタイプで括ったコミュニケーションを取るときほど、案外自身のアンコンシャス・バイアスが強く作用している可能性があります。
あくまでも自身のステレオタイプに過ぎず、相手のステレオタイプではない可能性があります。この点を理解し、決めつけすぎないコミュニケーションを行いましょう。
表情にも注意する
相手の表情などは、自身のアンコンシャス・バイアスに気付くサインといえます。
自身のコメントに対して相手の表情に変化が生じた場合、ぜひ注目して確認してみましょう。
相手の変化は、何らか違和感が生じた際に起こる可能性が高いです。その時の自身の感情は放置せず、丁寧に処理することでアンコンシャス・バイアス解消に繋げることができる可能性があります。
まとめ
アンコンシャス・バイアスは、それだけでは良し悪しを決めることができません。良いように変化させるのも、悪いように変化させるのも、私たちのコミュニケーション次第といえます。
自身がアンコンシャス・バイアスを自覚することで、相手にとって心地よいコミュニケーションになる可能性が高いだけでなく、自身にも心地よいコミュニケーションとして返ってくる可能性があります。
広く様々な人々とのコミュニケーションを円滑に行うために、対応方法を心得た上で、この機会に自身のアンコンシャス・バイアスと向き合ってみてはいかがでしょうか。
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