HIPSTER GATE

読書マニアE氏の推薦ビジネス書

失敗の科学

2019.07.01

失敗の構造を解き明かしたベストセラー

すりおろしたニンニクをしばらく放置していると緑色になることを最近はじめて知ったE氏です。

ニンニクの香りや辛味の成分であるアリインが、刻んだりレンジでチンすると刺激でアリシンになり、
それが時間経過してアルキルサルファイド化合物になり、酸化して鉄分と結合して緑色になるらしいですね。
(ちなみに品質自体には全く問題ないそうですが、変色するって常識なんですか?

 

さて、今回おすすめするビジネス書はこちら。

著者:マシュー・サイド
訳:有枝 春
出版社:ディスカバー(2016年12月発売)

 

なぜ、人は過ちを繰り返すのか?
なぜ、人は失敗を隠したがるのか?
そこにはどんな心理が働いているのか?

当たり前だが、人はみな本能的に失敗を嫌がるものですが、
その失敗から逃げずに積極的に学ぶ人、組織こそ強くなれる。

要約

●航空業界と医療業界ではミス件数が段違い
 航空業界…約240万フライトにつき1回の事故率
 医療業界…アメリカでは毎年44,000~98,000人が回避可能な医療過誤で死亡

●医療業界でミスがなくならないのは「クローズド・ループ現象」が関係している
 クローズド・ループ現象とは、失敗や欠陥にかかわる情報が放置されたり
 曲解されたりして、学習の機会や進歩につながらないこと。

●失敗から学ぶためにはどうしたらいいのか?
 すべてのデータ(目の前に見えていない部分を含めて)で検証する
 例)第二次世界大戦におけるアメリカ軍爆撃機
   無事に帰還できた機体は翼・胴体の損傷がひどく、
   コックピットと尾翼は砲撃を受けた形跡がなかった。

   Q:帰還率を高めるには、機体のどこを強化すべきか?
   A:コックピットと尾翼を強化すべき
       一見するとダメージを受けやすい翼・胴体を強化すべきように思うが、
      ダメージのないコックピットと尾翼こそ、損傷すると帰還できない何よりの証明。

●失敗から学ぶには2つの要素が必要
 ①システム…学習チャンスを活かす体制
 ②スタッフ…情報提供者がいなければシステムも意味を成さない

●人は不都合な事実があると解釈を変える(認知的不協和)
 例)カルト集団の教祖の予言が外れても、信仰心は依然として変わらない

●私たちは世界を単純化しすぎる
 どうせ答えはわかっているから試す必要はないと考えてしまう。
 そこには現実の複雑さを過小評価する心理傾向が働いている。

●失敗した人を吊るし上げる魔女狩り、スケープゴートは意味がない
 失敗に対する弁明や言い訳を生むだけ。

●失敗を真摯に受け止めることが最も大切
 実験や検証に失敗はつきもの。挑戦を称えよう。批判は勇敢に受け止めよう。
 自分の考えを過信せず、真実に正面から向き合おう。

E氏の私見

本書では冒頭で航空業界と医療業界を対比させて、
ミス・事故率がこんなにも違うのかを解き明かしていきます。
その結論として「失敗から学ぼうとする姿勢の違い」に
答えを見出しています。

そもそも航空業界は失敗から学びやすい環境にあります。
もっと正確に言えば、学ばざるを得ない環境にあるのです。
ここが医療業界との最も大きな違いでしょう。

たとえばフライト中に何らかの機体トラブルがあり、
本来の目的地とは異なる空港に緊急着陸したとします。
さて、その場合この事故はどれくらいの目撃者がいるでしょうか。
乗員、乗客、管制所、近隣住民など多数に上ります。

すると事故の隠ぺいはもはや不可能で、
原因追究と再発防止の徹底を図らなければならないという、
外部からの圧力、プレッシャーが自然と働きます。

一方で医療業界はどうでしょうか。
仮に手術室で薬の投与量を誤ってしまい、
一時的に患者の容態が悪化してしまったとしましょう。
この場合の目撃者の数は医者、看護師くらいのものです。
麻酔などで意識がなければ、患者本人も気が付くことができません。

あなたが担当医だったら、どのように考えますか?
この密室空間で知っているのは、あなたと看護師だけ。
薬の投与量を間違えて指示していたことが露見すれば、
あなた自身の評価や出世にも大きな影を落としかねません。

すると、この場さえ凌げば何とかなるという思考が働き、
隠ぺいや口裏合わせの工作をしてしまう可能性が高まるはずです。
これでは失敗を活かすなんて、土台無理な話です。

 

人間は弱い生き物です。自分がかわいく傷つきたくはありません。
いわば人間の本能であり、抗うのはそう簡単ではないもの。
そうだとするならば、私たちは強制的に失敗やミスに
立ち向かう仕組みを作らなければなりません。
医療など人の命を扱う仕事こそ、そうあるべきではないでしょうか。

今回は以上です。
もっと中身を知りたくなったら、ぜひ本を買ってみてください。

失敗の科学 失敗から学習する組織、学習できない組織

よもやま話

前回のコラム『あえて茨の道を歩んだ一冊』ですが、
公開して10日間が過ぎた時点でFacebookのシェア数39。
多くの方にご覧いただけて、とても嬉しいです!

これからも応援よろしくお願いします。
それではまた次回。


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