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1on1ミーティング導入の現状 失敗例から学ぶ成功の秘訣とは?

2020.01.31

日本でも注目される1on1ミーティング

シリコンバレーを拠点とするグーグルやインテルのような世界的IT企業の間で「1on1ミーティング」が浸透したのをきっかけに、2012年に日本国内で初めて、ヤフーが1on1ミーティングを導入しました。

その後、1on1ミーティング導入の流れは日本企業にも徐々に広がって、現在ではソニー、楽天、パナソニック、日清食品などの大手企業をはじめ、国内の多数の企業が1on1ミーティングを活用しています。

1on1ミーティングに消極的なケースも

1on1ミーティングが国内でも認知されつつある一方で、導入に消極的であったり、懐疑的であったりする企業も散見します。

長年定着しているOJT制度やしかるべき研修体制、メンター制度を整えている企業であれば、1on1ミーティングをあえて導入することに意義を見出せないこともあります。

ミーティング当事者であるマネージャーから、これ以上ミーティングに充てる時間はないとして抵抗がある場合もあるでしょう。

しかし、シリコンバレーで1on1ミーティングが当たり前のように行われているのは、1on1ミーティングには経営戦略や人事戦略上のメリットが大きいからです。

1on1が目指す本当のゴール―自分の業務の意義を正確に認識させること

現状の問題点について述べる前に、簡単に1on1ミーティングについて確認しておきましょう。

この面談は、部下の成長を促すことを最大の目的としています。

その過程で、業務上の悩みや疑問点を上司に相談できる流れを作ったり、部下がもつ未知の才能あるいはやりたい仕事を本人自らが気付くようにお膳立てしたりすることもあります。

やり取りの中で、部下が主体的に考えて答えられるように仕向けながら、スピード感のある決断ができる自立的なビジネスパーソンの育成を促すことも重要な目的です。

失敗事例の実情は?部下のやる気を引き出せていない、個人面談との違いがわからないなど…

1on1ミーティングの導入拡大とは裏腹に、取り組みに効果が見られないケースや、1on1ミーティングに対応するマネージャーから不満が噴出するケースなど、1on1ミーティングの導入が成功したとはいえない企業も少なくありません。これは、1on1を導入しない組織が導入を躊躇する理由と重なります。

実際の現場では、1on1ミーティングの効果が上がらない理由がわからず悩んでいる人や、従来から実施されてきた個人面談と1on1ミーティングがまったく別物であることを理解できずにいる人もいるはずです。

1on1ミーティングがうまく機能していない現場では、以下のような不平や不満、疑問が聞かれます。

・多忙なため、時間を確保するのが困難
・部下のやる気をうまく引き出すことができない
・1on1ミーティングを経験したことがないから、通常の面談との違いがわからない
・部下とのコミュニケーションはとれているので問題ない
・直属の上司なので、本音を話しにくい
・1on1ミーティングの当事者同士の相性がよくない  など

1on1ミーティングが浸透しない原因は?アメリカ版をそのまま導入するのはリスキー

上司が多忙でミーティング時間を捻出できないと感じるのは、日本の多くの企業ではマネージャーがプレイングマネージャーであることに原因の一端があります。

通常業務も担う上に、働き方改革による多様な働き方や残業時間の管理、メンタルヘルスケアなど、マネージャーのやるべき仕事は増える一方です。こうなると、それぞれの部下との面談時間を確保することは、上司にかなりの負担を強いる結果になり、定着は難しくなります。

部下のやる気を引き出せない、あるいは本音を話しにくいと部下に感じさせてしまうのは、適切な方法で1on1ミーティングが進められていないというスキル上の問題があるとも考えられます。

1on1ミーティングは日本ではまだ新しい手法であるため、上司自身は1on1ミーティングを受けたことがありません。従来の個人面談との違いを知識として習得しただけだと、意味のある1on1ミーティングを実施することが難しい場合も出てくるでしょう。

さらに、今の若手社員には、かつての日本企業でよく見られた仕事帰りの飲み会なども敬遠されるため、必然的に業務時間外でのコミュニケーションも減っています。社内での声掛け程度では、部下の今後のキャリアプランや仕事に対する悩みや考えなどをすくい上げることはできません。

米国グーグルやインテルで1on1ミーティングが定着したといっても、そもそも日本の企業とは企業風土も組織もまったく異なるため、アメリカ版の1on1ミーティングをそのまま日本企業に導入したのではうまく機能しません。

1on1ミーティングの本来の意義を見失うことなく、日本国内のそれぞれの企業や当事者の事情にあわせてローカライズした上で1on1ミーティングを導入することが成功の近道だといえます。

意味のある1on1ミーティングにするための処方箋

1on1ミーティングは、部下の業務上の成果や目標を確認するためのものではなく、部下の内面的な成長を促す機会です。そのため、1on1ミーティングの成功には、上司と部下の間の信頼関係や安心できる環境づくりが欠かせません。

ミーティングの冒頭にアイスブレイクを取り入れて、リラックスした雰囲気を醸し出し、部下の本音を引き出すのも有効です。最初に1on1ミーティングの目的を明確に伝えてもよいでしょう。

1on1と通常の個別面談の違いが曖昧になっている場合

1on1ミーティングの導入にあたって、あるいは進捗が芳しくないことが認められた時点で、管理職向けの1on1導入研修を開いて、あらためて「部下を成長させる」目的であることを強調し、その手法を確認する必要があるでしょう。

管理職に対してプロのコーチングを受ける機会を設けて、実際に1on1ミーティングを体験してもらうことも、1on1と通常の個別面談の違いを体感できる絶好の機会になります。

考えられる1on1ミーティング対策

1on1がうまく機能していない事例の中には、マネージャーが業務とマネジメントの両方を抱えているという職務分掌上の問題もあります。このような場合、状況を短期に変革することは難しいため、それ以外の方法で対応します。

上司にミーティングのための時間が足らないのであれば、1on1ミーティングの対応を専門機関に外注し、上司が直接関わる時間を減らす方法もあります。この方法だと、上司と部下の相性が悪くても、部下を成長させるという本来の目的を阻害することはありません。

限られたミーティング時間で最大の効果が得られるように、コーチングスキルやティーチングスキル、傾聴スキルを最大限に活用することもできます。

1on1ミーティングの意義の再考とその効果

現時点で1on1導入に否定的な組織、あるいは導入したが効果があるとはいいがたい企業でも、ひとたび導入が成功すればその効果は組織や企業全体に及びます。

こうした組織や企業が、1on1ミーティングの意義、つまり若手社員の能力最大化と組織の成果拡大の可能性を見つめ直すことで、1on1のより一層の広がりや成功例の増加が見込まれます。

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