男女ともに、80歳以上という平均寿命で高齢者が社会の大部分を占めるようになりました。日本の抱える人口問題が深刻なことは万人の認めるところでしょう。
現実の雇用問題はどうでしょうか。
年金財政が破たんするという理由から、年金の支給額を減らして開始年齢を先延ばしにし、税率を上げ雇用を継続しようといった、小手先の対策でごまかしているように見えます。
森としての大きな問題は考えずに、数本の木だけを見て、対症療法ばかり繰り返しているような政策、いわば無策と呼んでもいいくらいの状況が繰り返されています。
また、多くの企業が、定年後の再雇用契約の選択を残し、雇用の継続問題には答えていると言っています。しかし、その契約は低賃金が条件となっています。
65歳までの雇用を求められているので、とりあえず雇用だけは継続できるように制度を改める企業がほとんどですが、それ以外のことが考えられていないことが多いのです。そして、労働者も、何も言わずに受け入れているように見えます。
果たして、この状況はベストの状態なのでしょうか。
実は、企業ごとに工夫をしている話はあまり聞こえてきません。時々、「A社は定年を延長した」とニュースで報じられるだけで、世間は何も反応しないということが続いているようです。
大企業が対応策を始めると、類似の制度で「右へならえ」して、何も心配していないという企業が多くはないでしょうか。他社の真似をしていれば安心という日本人独特の風土がうかがえます。
果たして雇用は、どのように進んでいくのでしょうか。特に、高齢化という現状を見つめて、何をどのように考えて制度設計していけばよいのか考察を進めてみることで、解決策を一つでも、ひねり出していけるように本欄で検討してみましょう。
人生80年台の雇用はいかにあるべきか、働く側の人生設計と企業としての戦力の有効化の意味で、何に気をつけるべきなのか考えていくことにしましょう。
現在の民間企業の雇用問題を通じて考えてみることで、日本の将来展望も見えてくるかもしれません。
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