2014.11.17

女性社員の活躍推進~チームマネジメントの観点から考える~

ダイバーシティのプロが呟くアレコレ

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「チームマネジメントの観点から考える女性活躍推進のポイント」として、前回は「何のために女性活躍推進に取り組むのかを明確にすること」そして、つまづきやすい点の1つ目として「原因は女性社員にあるという考え方」をご紹介しました。
固定観念を捨てて、自らがこの課題にどのように加担しているか、経営トップをはじめ一人ひとりが自覚しないとこの問題の解決は難しいということです。

さて、今回は、企業がつまづきやすいもう一つの点からお話したいと思います。

3.「女性活躍推進」つまずきやすい点(2)

変えるのは社内だけではない

いくら社内の制度が整い、社風が変わり、女性社員たちのやる気が上がっても、家族(特に配偶者)の協力が得られない限り、女性は倒れてしまいます。

そもそも、女性社員は頑張っていないわけではありません。特に小さな子供を抱えた女性社員は退社後も保育園や通院に走り回り、自分の食事の時間、睡眠、トイレの時間をも削り、休む暇もないのが実情です。明らかにオーバーワークです。
この状況を変えずに「さあ、制度は整った。周りも協力しよう。今よりも働いて!」というのは過労死を増やすようなものです。
女性社員に活躍してもらうということは、健康な心身を維持してもらうことも含まれます。
そのためには、必要に応じ、家族をも変える必要があります。

残念ながら、わが国では未だに性別による役割分担意識が根強く残っており、男性の家事育児への参加時間は多くありません。
先進国各国と比較した場合、「6歳以下の子がいる有業男女の夫家事負担率は欧米先進国4割に対し、日本は2割に満たず」という調査結果もあります。

実は、日本よりも女性の活躍やワークライフバランスが進んでいる米国でも、「家事・育児は女性が担当するもの」という風潮がありました。
男女平等先進国の米国でも長期間にわたる啓蒙活動や様々な制度が必要だったのです。

企業でも様々な試みがされています。

米マイクロソフト社は、社員の福利厚生の一貫で夫婦関係改善のプログラムを導入しています。
「女性は男性に支配されるもの、補助関作業を行うもの」という考え方は後世作られたものであるという啓蒙や、お互いを理解し、尊重し、文句や非難ではなく、穏やかに依頼をするすべを学んでいきます。
組織の生産性向上のために、パートナーとの関係改善を企業が後押ししている一つの例です。

日本でも、この問題に着目した一部企業が女性社員の配偶者をセミナーに招き、夫婦で意識改革と相互協力を促す試みが始まっています。

4.何から着手するべきか

さて、ここまで女性活躍推進のポイントについてお話してまいりましたが、企業経営者や担当部門の方から、「うちも対策を打たなくてはと思うのですが、やり方がわかりません。どうしたらいいのでしょうか。」というご質問を受けます。

何から始めたらよいかわからない場合は、まず現状の把握からされてはいかがでしょうか。

いきなり制度を変えたり、新設することはおススメしません。
身長もウエストもわからないのに、吊るしの洋服を買ってきて着させるようなものです。

変革の種と改革の智慧はコンサルティング会社にではなく、「社内」にあります。
まず「今、自社に何が起きているのか」を様々な視点から観察し、男性社員を含め、いろいろな声を集めることが必要です。
(もちろん、そのためには、本音を聞きだす環境作りが必須になります。
思いつきで社長が女性社員を集めたランチ会を開き、「さあ何でも話してみろ」と言われたが本音を話せるはずがなく、社長だけが「うちの社員に不満はない」とご満悦だったという笑えない話があります。)

いっそのこと、「女性の活躍推進」という小さな捉え方ではなく、「組織改革」と腹をくくってはいかがでしょうか。
介護に関する問題をはじめ、様々な情報と智慧が集まるはずです。
社員の声に真摯に耳を傾け始めたとき、これは組織が真のチームになるための意味のある1歩になるに違いありません。

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