人材教育は、能力を習得して仕事に生かしていくことを目指すわけですが、教育効果を発揮して独り立ちできたとして、そのままでよいでしょうか。
あとは本人のやる気と能力次第では、あまりに他力本願過ぎるというものです。何らかの見極めが必要ということになりますが、このような長期的なフォローアップを、法令が義務付けた例があります。
労働安全衛生法に基づく、労働安全衛生管理規則では、作業主任者や、安全管理者、衛生管理者等、安全衛生上の役割を担うものに対して、技能講習や資格免許取得後5年を経過する場合に能力向上教育を施すことを義務付けている仕組みがあります。
この場合は、国が、国民の安全と健康を守るために、その役割を担う者に、一度、勉強したからといって、放っておいていいわけではない、能力を向上して、事業所内の労働者の安全と健康を守り続けていってほしいという思いを法令化したものです。政策によって、フォローアップを義務付けた例と言っていいでしょう。
フォローアップには目的があり、どういう立場の人が、どういう役割を、どのように担うのか、どの程度の成果を発揮してもらうかという「ねらい」が必要になります。フォローアップの意図する期間が長ければ長いほど、繁栄を維持し続ける仕組みとして制度を存在させることができるということになります。
人事・教育部門は、社員の入社から定年まで、いつ、どの段階で何を教えるのか戦略と計画を作らなければなりません。また、社員個人ごとの能力の見極めも重要です。現在の能力レベルと期待する役割とのギャップの程度、あるいは、その役割を上回る能力を持っている社員も必ずいます。
企業戦略を実現するために配置した人員が、それぞれに果たすべき役割と能力を発揮できるかは、組織的な仕事の成功を左右する大きな条件でもあります。
能力をその人が発揮する気持ちになることと、発揮できる環境にいるかどうかは密接に関わります。
人それぞれに人生があり、ライフプランと、私生活や健康状態、家族の状態にも左右されますので、人事・教育部門にとって、個人を把握するという視点を持つことは非常に大切なことです。
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