働き方改革は何から手をつけるか(1)~働き方改革に潜む違和感~
2017.02.06
ツイート働き方を改革するということは、今、まさに日本の置かれる現状や未来に対し、国単位で大きな問題解決を図ろうという、政府の掲げる「一億総活躍社会の実現」に向けて最大のチャレンジです。
「働き方改革」に潜む違和感
政府の掲げる、働き方改革に関する取り組み内容を見てみると、以下のような項目が並びます。
1.非正規雇用の処遇改善(同一労働同一賃金)
2.賃金引き上げ
3.長時間労働の是正
4.転職・再就職支援、職業訓練
5.テレワークや副業・兼業など柔軟な働き方
6.女性・若者が活躍しやすい環境
7.高齢者の就業促進
8.病気の治療、子育てや介護と仕事の両立
9.外国人材の受け入れの問題
働き方を改革しようという内容は、非常に総花的で、部分で見ると、一つ一つが、それなりに変えるにはかなりの困難が予想されるものばかりが並んでいます。
まさに、9つの難関を乗り越えた先に、働き方改革があると思うと、気の遠くなるような難題山積の高い山だということがわかります。
そして、現在の働き方は、いわば、労働基準法によりがんじがらめの中にあって、変えようがないというのが実感ではないでしょうか。長時間労働など、合法的に、三六協定によって実施できるような内容でさえあります。
変えられるにしても、取り組みの成果は少しの変化をもたらすだけのようにも思えます。まるで、国民のみんなが道路交通法を守り整然と走っている中、道路の走り方が綿密に決められている中にあって、「道路を自由に走ろうじゃないか」とでも言われているような違和感があります。
また、働き方改革が全体として、何のために改革するのかが曖昧で、目指す一点の目標が人によって考え方や尺度の違いによって、必ずしも一致する状態を意味しないということもあるでしょう。掛け声として、方向性が間違ってはいない事は分かるけれども、自分たちは何を目指せばよいのか、今の何を変えなければいけないのか、どこまで変えるのか、目指すことも可能なのかどうかですらわからないというのが人事部門での現実ではないでしょうか。
そして、特に民間企業であれば、経営陣にその気がなければ、まさに、絵に描いた餅。
現実には、100年たっても変えられそうに思えない会社もあることでしょう。特に、企業全体のビジネスモデルを変えることにもつながるほどの大改革を必要とするだけに、単に、人事部門が旗を振るだけでできるものでもありません。
そんな状況にありながら、何から手をつければいいのか、考えてみることにしましょう。