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あゝ人材教育!3分ななめ読み

テレワーク時代のオフィスの必要性について考える

2020.06.12

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、世界中の多くの企業がテレワークの実施に踏み切りました。米ツイッター社のように、コロナ禍収束後も、全社員に対してテレワークで働くことを恒久的に認める企業も出てきました。今後のオフィスはどうなるのでしょうか。

テレワーク運用の成功によって、オフィスの必要性に疑問符

2020年5月12日に「期限を設けず、全社員を対象にテレワークを認める」ことを発表した米ツイッターは、他社に先駆けて、同年3月2日には全社員に対してテレワークを求めていました。全社的にテレワークを実施した結果、問題なく機能したことから、このような経営判断に至ったと述べています。

同様に、米フェイスブックも2020年末まで、希望者全員のテレワークを認める方針をすでに打ち出しています。米グーグルも、6月から一部オフィスを再開する意向を示す一方で、大半の社員の2020年末までのテレワーク継続を容認 しています。

もともと、米国大手IT企業はテレワークなどの柔軟な働き方を積極的に導入していました。事業のグローバル展開によってWEB会議システムも軌道に乗っていたこともあり、企業活動に支障が出なかったことから、冒頭の決定につながりました。

日本でも、テレワーク導入によってオフィス事情に変化あり

東京都心部のオフィス物件を手掛ける不動産会社によれば、通勤自粛が求められていた2020年中旬以降、ベンチャー企業中心に、都心部にあるオフィスの賃貸契約解約の相談件数が増えているといいます。

オフィス増床計画の見直しを決定した大企業も見られる ということです。

都心部にオフィスを構える企業がこのような決定に至った背景には、自粛要請や業務縮小などによる収益悪化もあると考えられますが、必要に迫られて導入したテレワークが思いのほかうまく機能したことも大きな要因になっているでしょう。

こうした流れを見るにつけ、そもそも、企業にとってオフィスは必要なのかという疑問も生じてきます。全社員、あるいは大半の社員がテレワークしても、企業活動が円滑に行われるのであれば、従来のように全社員を収容できる大きなオフィスも、サテライトオフィス構想も不要なのではないでしょうか。

過去には、米ヤフーやIBMでフルテレワーク廃止の決定も

現在のようなテレワーク歓迎の空気とは裏腹に、2013年には米ヤフーが、2017年には米IBMがテレワーク禁止を通達したことがありました。

当時、良質な人材を確保して、離職率を下げる効果があることから、米国の企業は、フルテレワークの導入を柔軟な働き方の一つとして積極的にアピールしていました。

そんな流れの中、ヤフーやIBMが下した決断は、フルテレワーカーのマネジメント問題が大きく関わっていたと推測 されます。

オフィス不要論のカギを握る、米ギャラップ社が指摘する在宅勤務マネジメント問題

2017年8月に遡りますが、米国調査会社大手のギャラップがホームページのブログで「3 Ways You Are Failing Your Remote Workers(テレワークを阻む3つの壁)」を投稿しています。

本記事では、上司がフルテレワーカーのマネジメントで陥りやすい失敗を3つ挙げています。

① 部下が出した成果をしっかり認識して、適正に評価していない
② 部下のキャリアの目標や個人的な成長について話し合う場をもっていない
③ 他のフルテレワーカーたちとの交流の場を提供していない

ギャラップの実施した調査から、フルテレワーカーとしての立場で、上記のような環境に置かれると、企業に対するエンゲージメントは著しく下がり、パフォーマンスも低下することがわかっています。企業での将来のキャリア展望も描けないため、離職率が高くなることも指摘されています。

さらに、まったく出社しないフルテレワーカーより、週1日か2日出社するテレワーカーのほうが業務上の成果が出やすいことも明らかになっています。

つまり、フルテレワーク環境が拡大すると、上司の目が届きにくくなる、同僚との交流がなくなりモチベーションが下がるといった、社員のパフォーマンスを左右するマネジメント上の問題が発生するリスクが高くなるのです。

このような経緯から、上司が部下の日々の成果やキャリア、成長などに気を配り、社員間の交流を図る場を設けるなど、マネジメント能力を最大限に発揮することがフルテレワーク成功につながることを同社は示唆しています 。

今後のテレワークの動向とオフィスの在り方

全社的なテレワーク運用が成功している企業は、おおむね上司による部下のマネジメントが適切に行われている企業だと考えてよいでしょう。

だからといって、さしせまった財務上の問題がなければ、オフィスの必要性を完全に否定するのは拙速な判断かもしれません。

ギャラップの調査にもあるように、週1日でも出社できるオフィスがあるほうが企業へのエンゲージメントも高まります。出社日にあわせて上司による面談の場を設けたり、ミーティングを行ったりすることもできます。同僚との交流によって、モチベーションもアップします。

オフィスにかかる固定費を削減するには、オフィスフロアを縮小してフリーアドレスにする、リモートオフィスを削減する、シェアオフィスを利用するなど、さまざまな選択肢 があります。

あらゆる可能性を考慮した上で、フルテレワーカーのマネジメント対策が万全になれば、オフィス不要という結論も考えられるでしょう。

現在でも、地方に在住する人材やグローバル人材をフルテレワークで雇用・活用して、実績を上げている 企業もあることから、将来的にはオフィスをもたない企業も増えてくるかもしれません。

 

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