ヒップスターゲート

読書マニアE氏の推薦ビジネス書

「仕事ができる」とはどういうことか?

2020.01.27

スキルよりセンスの時代が来ている

「センスいいよね~」って人生で一度も言われたことがないE氏です。
さて、今回の推薦書はビジネスパーソン必読の一冊、それくらいオススメの本です。

著者:山口 周、楠木 建
出版社:宝島社 (2019年11月発売)

要約

●スキル<センスの時代
 これまでは「スキルが金になった」時代。つまり「役に立つ」ことに価値があったが、
 昨今は役に立つ(スキル)より意味がある(センス)ことに価値の源泉がシフトした

●論理(スキル)の根幹に直観(センス)がある
 ビジネスとは問題解決。問題の特定や原因分析には直観が必要であり、
 その次に論理で解決策を模索していくという流れになる

●スキルでマウンティングする日本男子
 家柄・学歴でマウンティングできない場合は、結局スキルで勝負するしかなくなる

●平均点にお金を払いたいと思う人はいない
 スキルは必要であるものの、十分条件ではない
 労働市場でお金が支払われる(価値がある)のは突出した強み

●センスは事後性が高い
 センスを磨くためには「やってみないとわからない」側面がある
 事前に因果関係を明確化できないので、センスは試行錯誤で磨くしかない

●「担当者」と「経営者」の仕事の違い
 担当者は部分最適化を目指し、スキルをガリガリ発揮するのは当たり前
 経営者は全体を統合して全体最適化を図る。その視点にセンスが求められる

●「センスある人」は時間的な奥行で思考する
 仕事ができない人ほど箇条書きやToDoリストが大好き
 センスある人ほど仕事の序列や組み合わせを時間の流れとともに見ている

E氏の私見

本書は「仕事ができる人はなぜ希少なのか?」という
シンプルな問いから始まる山口さんと楠木さんの対談本です。

お二人の経歴など気になる方はググっていただくとして、
世のビジネスパーソンの多くが「仕事ができる人」になりたいと思ったことがあるはず。
そもそも仕事ができるとはどういう状態なのでしょうか。
本書ではこの人じゃなきゃダメ、この人に任せたら安心だよねという人だと言います。
それをもう少し細分化した言い方にするのであれば、
センスを用いて成果を出せる、具体と抽象の両軸で思考できる人ということになるのでしょう。

「この人に任せたら安心だ」という感覚が生まれてくる背景として、
その人が単純に特定のスキル(例えばプログラミングや英語など)を持っているからではありません。
他人の目からは見えにくい、その人なりの思考法および思考プロセスこそがセンスであり、
そのセンスに価値があるからこそ、安心感が生まれてくるわけですね。

日本人はわりと良し悪しをはっきり区別したがる傾向にあると思っているので、
センスのような抽象的な概念は少し受け入れがたい部分があります。
かくいう私自身もそうですが。。。

するとセンスよりスキル(論理)に走るのも納得で、
いかに多くの資格を取るか、知識を蓄えるかという領域に行ってしまいがちです。
でもそのほうが安心しますよね。あぁここまで自分は成長しているんだと。
そういう意味ではスキルは分かりやすい物差しになります。

ただ、そうすると詰まるところ他の人との差別化は図りにくくなりますし、
極端にとがったスキルでなければ、時間の経過とともに陳腐化していきます。
またビジネスでは絶対解や唯一解がないことが多く、最適解を出すことが求められますが、
その解をどのように導くかはセンスに拠るところが大きいものです。
だからこそこれからの時代を生き抜いていくためには、
スキルよりセンスを磨いていく必要があるということなのです。

本書はセンスをいかに磨くか、身につけていくかという具体的な方法論の記載がありませんが、
もっと詳しくセンスの正体について知りたいという方は、ぜひ読んでみてください。

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