人事教育担当者が知っておきたい研修形式と予算の関係
2016.05.06
ツイート前回、年間の総予算のお話をさせていただきましたが、今回は、個別の開催方法によって増減する経費と考え方に触れます。
● 研修形式をどうするか
研修の方式として、半日で行うか、一日だけか、それとも、宿泊研修にするか、複数回開催にするか等、方法は様々です。どういう開催方式をとるかによって、経費の掛かり方が大きく変わることは否めません。また、同じ時間をかけても、時と場所、場合に応じて、効果がずいぶんと違ってきます。そして、参加する対象者にも喜ばれる研修にすべきと思われます。嫌々参加されては、効果など半減してしまうというものです。
(1) 企業内施設での研修
この場合は、一番安上がりで、参加者も身軽に参加できるというメリットがあります。しかし、それゆえに、普段の仕事から離れる気持ちが少なくなり研修に専念してもらえない可能性が出てきます。仕事のために安易な欠席さえも出てしまうかもしれません。
(2) 離れた場所での通い研修
企業内から離れた場所で、日ごろの仕事空間とは隔離された研修施設もよいものです。日ごろの仕事のことは忘れて研修に専念することができます。
(3) 離れた場所での合宿型研修
参加者が、事務局も一緒に寝食を共にし、一定の時間を過ごすもので、研修に没頭できるほか、通いの時間も研修に充てたり、懇親会をセットにしてコミュニケーションをとるなど、参加者同士の結束を高めることも期待できます。しかし、その分、通い研修と違って、経費は相当に膨らみます。
それゆえに、企業として、大切な戦略研修に充てることが重要でしょう。
たとえば、新人研修ならば社員としての一体感醸成や、同期の仲間との結束を高めることができます。懇親会では、会社幹部とも交流してもらうことができて、即戦力化をはかるには良い方法と言えます。
● 大切な施設環境
上記(1)~(2)のように、研修の方式によっても随分と予算は変化するものですが、どの場合でも気をつけたいことは、社員を大切にしているという意識を持つことでしょう。社員に成長してもらいたい、人こそが財産であるという心構えを形で示すということです。つまりは、安易な、もしくは、あまり考えられていない準備不足があってはなりませんし、食事も普段より劣らないよう、むしろ豪華なものを用意するくらいが、研修を集中して受けてもらえます。長時間同じ姿勢で過ごすことも多いので、椅子や机、テーブルにも気を配りましょう。従業員が参加して、立派だと驚くくらいの厚い待遇にしてあげたいものです。決して、贅沢をさせるという意味ではなく、学んでもらうのに、充分な設備と空間を提供しようということです。
予算を思えば、宿泊料金は抑えたくなりますが、個人の空間を望む人が増えている昨今、大部屋に複数の受講者を宿泊させることも、その目的など慎重に考える必要があるでしょう。
このような研修の環境設定は、参加者には選択の余地がないため、事務局の筋の通った考え方が必要なのです。参加者がこの会社の社員でよかったと思えるような研修にしましょう。