「どうすれば社員が自発的に成長するようになるのか?」企業経営にとって、人材の育成は重要な経営課題の一つ。社員を育てようと各種研修を企画しても、なかなか思うとおりの結果が得られないとお悩みの企業は多いのではないでしょうか。
特にこれからは、コロナ渦一つとっても、過去の経験に基づいた思考や行動では対応できないようなことが数多く待ち受けています。
外部条件に左右されずに成長していく企業体質を作るためには、そこで働く人々が成長し続けていける環境が必要です。
社員が能動的に成長をするために学習してくれるのか、そのために企業は何をすべきか、ヒントをお伝えします。
これまでの会社都合の学習では社員は成長しない
企業が人材育成を考えた場合には、従来では研修を実施し、社員の学習をサポートするというのが一般的でした。
■今までの社員教育ー業務に関連することが前提 ・集合研修 ・資格取得支援 ・課題図書などの配布 |
これらは「業務にまつわること」のため、日常的に業務をこなすために、あるいはもっとスキルを高めるために必要な内容であることが多いです。
しかし、会社が求めているのはもう一歩先の「自発的に必要な勉強をおこなう」社員。
「会社がやれというから」と、受動的に学習をおこなうのではなく、自ら成長のために学び続ける習慣はどのように育めば良いのでしょうか。
主体的に「学習」する事に対しての評価を
人は、そもそも好奇心というものを本能的に持っています。未知のものを学ぶことについて、私たちは楽しんで取り組めるはずなのです。
それが、なぜ今勉強やめてしまったのでしょう。結局のところ、幼い頃からの学校の勉強や受験勉強など、学習に対しての「必要だが楽しくないもの」という意識が根強く私たちを支配しているからではないでしょうか。
考えてもみてください。例えば、釣りが趣味という人は、魚や道具、そして釣り場についての知識を自ら学ぼうとします。人は、自分の興味があることについては、誰からも強制されずに知識を身につけていくことができるのです。
毎日の業務で疲弊している社員であっても、学習が人生を豊かにするのであれば、自ら進んで学ぶ時間を作ります。
社員がひとりひとりが、学習に前向きに取り組んでほしいと願うのであれば、まずはどのような内容であっても、楽しみながら学習する習慣を身につけたことを評価するという姿勢を見せることが重要です。
カギになるのは、管理職の一般社員へ向けての対応です。人事・教育担当者としては、全社的に効果を上げるために、管理職にこそ学習モデルになってもらう必要があります。
一般社員に施策をおろすまえに、管理職から始めてみるのも一つの手段といえるでしょう。
「学ぶことは楽しい」という空気の醸成が必要
例えば、朝礼やミーティングで、自身がいま熱心に取り組んでいることをプレゼンする場を設けるなど、社員が自発的に学んでいることを皆で盛り上げるのは良い取り組みです。
見慣れたメンバーが人前で話すのを見ることや、自分が人前で短い時間でも発表させることは、特にそうした機会のない部門の社員においては良い刺激ともなります。
まずは経営層や管理職から、敷居を下げるために趣味などの資格を盛り込みつつ表明していきましょう。この時に重要なのは、普段は目立たないタイプの社員に脚光を当てることです。社員一人ひとりが、「自分が勉強することは、意義のあることなのだ」と思えるように取り上げるのが重要です。
ソニー創業者の盛田昭夫氏は
「組織の秩序に組み込もうという態度はあらゆる個性的な能力を殺してしまう」
「日本の多くの会社が協調性をうたう時、それはすなわち個性の抹殺を意味している」
という言葉を残しています。
学習をおこなっていない社員ももちろんいるでしょう。ここで重要なのは「学習するきっかけ」をも与えることです。
社員それぞれが、仕事以外の面でも豊かなバックグラウンドを持っていることは、企業の強みともなり得ます。
学習内容を、企業の役に立つかどうかでジャッジしてはいけません。まず必要なのは、社員が自ら学習に取り組み、継続しているということを評価し、メンバー同士で高め合う空気を醸成することです。
企業として目に見える学習支援を
社員が学ぶことの楽しさを見つけ、自発的に学び続ける環境を整えるには、空気の醸成に加えて、目に見える学習支援をおこなうとより効果的です。
企業がTOEICなどの資格に受験補助を出すのは広く一般的になってきました。それに加えて、社員が自ら受講する講座やセミナー、仕事と関係のないような資格などについても補助を出すなど、企業として「社員が学ぶことを奨励している」というのを目に見える形で支援するのも良いでしょう。
冒頭であげた研修についても、社員が能動的に取り組むようになれば効果が変わります。
できるだけ他部署との交流をさせるようにすることで、新たな刺激を受けることにつながりますし、外部研修で他業種との交流をおこなうのもおすすめです。
決して即効性がある方法ではありませんが、社員が能動的に学ぶことを奨励することで、自発的に学習することの楽しさを発見できるよう促すのが、結局のところは近道なのではないでしょうか。
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