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2017年度新入社員労働に関する意識調査

2017.06.23

2017年度新入社員1525名を対象に意識調査を実施いたしました。近年の新入社員は学習指導要領や社会環境が目まぐるしく変化するなかで成長をしてきました。よって職場での新入社員との関わり方は年ごとの試行錯誤となっているのが現状です。その一例として1990年代後半からのネット社会へのドラスティックな変移は、現在、各職場でリーダーとして活躍している世代と新入社員との間にコミュニケーションの溝を作り出しています。企業の永続的な経済性の追求を果たすために、人材育成、とりわけ新入社員教育は質の高さが求められます。当意識調査では、講師陣にも新入社員の「強み」「弱み」をヒアリングしています。人材育成の手助けになれば幸いです。

調査概要

◆受講者に対するアンケートの実施
【調査名称】2017年度新入社員 労働に関する意識調査
【調査対象者】2017年度新入社員 1525名(弊社実施研修プログラム受講者)
【調査期間】2017年4月4日〜5月12日

Q1会社の先輩や上司に何を期待しますか?

2017年調査結果は、「仕事以外の話もできる雰囲気」36%、「マナーや仕事の進め方の基本スキルを教えて欲しい」32%、その他は20%を下回り、上位2つの回答合計が過半数を占めた。昨年、突出していた「仕事以外の話もできる雰囲気」が、「マナーや仕事の進め方」に振り分けられた格好。これは2014年度および2015年度の傾向に戻っており、昨年の回答が特徴的であったことがわかる。

Q2働くうえで重要だと感じていることはなんですか?

「周囲との良好な人間関係」が42%と多数の回答を集め、昨年同様に、働く環境を重視する傾向にある。自身を含めた職場の雰囲気の良し悪しが、仕事への取組み意欲や成果に影響を与えると考えていることが分かる。以下、「仕事がこなせる能力」37%、「仕事と私生活の両立」15%となっており、その他の数値も大きな変化は見られない。

Q3仕事をする上でモチベーションとなる事柄はなんですか?

昨年と比較し、数値を下げたのは「自己実現」のみで31%と5%減、その他の選択肢はすべて数値が増加しており、「自己実現」の回答が振り分けられたことになる。「給与、昇給、昇格」は、調査を開始した2014年度から増加傾向にあったが、今年は19%と「職場での人間関係」を逆転して3位回答となった。調査対象者の現実的な価値観を表すと同時に、自身の能力を高く見積もる傾向が垣間見られる。

Q4指示を受けた仕事で不明点があった際はどうしますか?

仕事の進め方のとらえ方、主体性、ストレス耐性や責任感などが分かる設問だが、「指示者への確認」35%、「周囲への確認」31%、「調べて進め方を考える」23%に回答が集中する傾向は昨年と変わらない。ただし、「調べて進め方を考える」とする回答が調査開始以来はじめて23%台となった。2014年度以降24%後半を維持していたものであり、思考力や主体性の変化の兆しととらえることもできる。

Q5あなたは先輩や上司から何を期待されていると思いますか?

20%を超える回答は3つ。「不明点はすぐに聞き進める」28%、「先輩を手伝い仕事を覚える」26%、「周囲を見て気配り」23%。短期的、対策的な期待値を想定しての回答に集中し、新入社員の立場をどのように認識しているかが見て取れる。なお、「知識習得」と「仕事を完遂」は昨年と順位の逆転があるが、調査年ごとに順位は入れ替わっており、何らかの傾向や兆しとはとらえがたい。

Q6将来、海外で働きたいですか?

2017年度の調査結果は、「スキルが身についたら」46%、「短期間なら」21%、「すぐにでも」12%と、働きたいとする回答の総計は79%となり、昨年の85%を6%下回った。海外での仕事について、興味はあるが現状ではチャレンジングだとする若者の認識が伺われる。

調査概要

◆講師報告書
【調査対象者】2017年度新入社員研修プログラムに登壇した講師119名
【分析方法】 研修報告書に記載した、受講者の強み・弱み・理由より分析

講師報告書による新入社員の『強み』

分析

2017年度の新入社員の強みは、真面目で状況によく対応できる分析力・思考力と、チームワークよく課題に取組む協調性の高さである。自身の立場をよく理解して反応し、周囲からの期待に安定した水準で応えることができる。
「真面目さ」の周辺項目として、「取組み意欲」「時間を守る意識」「礼儀正しさ」「規律性」があり、「チームワーク・協調性」の周辺項目としては、「適切なコミュニケーション」「気遣い・配慮」が挙げられている。特にコミュニケーションは、お互いを尊重し、同時に自身の考えも主張できる対人能力の高さが寄せられている。
また、過去、物足りなさのあった「主体性」や「積極性」は、昨年に比較し2%から8%へ増加、次頁の弱み項目としても挙がってはいるが、昨年比で大きく数値を下げている。一方で、昨年、登壇講師より最も多く挙げられた「素直さ」(17%)は、今年10%にとどまった。

講師コメント
  • 真面目で研修に真摯に取り組む姿勢があります。昼休みの時間を使って、午後の課題に向けた話し合いを行っていました。
  • 非常に真面目である。少々おとなしい印象もあるが、与えられたテーマや課題をコツコツと誠実に取り組む印象である。
  • 振り返りの時、うまくいかない要因を早い段階で的確に分析できていた。
  • 個々の能力が高い。報告の際、問題に対して鋭い視点で的確な分析ができていた。
  • 単に仲が良いのではなく、メンバーを尊重して意見が言い合える雰囲気が作れていた。
  • チームの和を保とうとする意識が強く、協調性が強い。チームメンバー全員で良くなろう、という姿勢が見受けられた。
  • 厳しい意見であっても受容する謙虚な姿勢がある。受講者同士で辛辣な意見もあったが、発言者に対し「ありがとうございます」と告げ、受け止めていた。
  • 講師からのアドバイスをしっかりと聴ける受講者が多く、言われたことを素直に聞いて習得しようとしていた。
  • 研修内容への関心が高く、説明を聞いて頷き、理解していることを示すなど、研修の目的の説明段階から、自ら学ぼうとする姿勢が強く感じられた。
  • 休憩時間中にも話足りない部分を議論する姿や、他の受講者に詳しく解説する姿など、研修内容をより深く知ろうという姿勢が見られた。

講師報告書による新入社員の『弱み』

分析

2017年度新入社員の弱みは、言動の緩さ・幼さ、主体性・積極性がなく発信力が弱い様子である。
講義中の様子や課題への取組み意欲、あるいは講師に対しての態度は前頁データのとおり「真面目」であるが、休憩中やグループワークなど受講者同士で対話がなされる際は、緊張感や規律性に課題が残り、社会人として拙い。
これらから、深層的に幼く一歩踏み込む思考力や先を見据えた計画力の弱さが類推される。少数意見(全体の4%)ではあるが「目標設定が甘い」「危機感が薄い」「自制心が弱い」といった項目は、幼さの現れと見て取れ、本年の新入社員の特徴を表している。
なお、「主体性・積極性・発信力の弱さ」が昨年の37%から19%へ減少している。前頁データ「強み」項目では、増加傾向にあり、注目すべき変化といえる。

講師コメント
  • 集中力、自制心において課題があります。議題以外のテーマを話したり、別の作業をするなどがありました。
  • 受講者同士だと敬語を使って話すことはほぼ実践されず、リラックスした砕けた口調によるやりとりが大半であった。
  • マナーに関して、相手の立場で適切に対処ができますが、研修の間だけ行えばよいと思っている感もあります。休憩時間や研修時間外になると、周囲への配慮・感度が落ちるように感じました。
  • 与えられた仕事は一生懸命に取り組むが、自ら考えて行動することは少なく、指示待ちの傾向がある。
  • 誰かが発表してくれる、誰かがやってくれるという人任せの意識は、結果的に問題を発生させる恐れがある。
  • 発表する際の声が小さく、何度か全員に聞こえるように促したが改善しなかった。
  • 声の小さな受講者が多い。グループワークで他メンバーと活発にコミュニケーションを取っている印象も薄いクラスだった。
  • 元気さに欠ける。挨拶の声や発表時の声が小さい。また姿勢が悪く、明るさ・活発さに欠ける印象である。
  • 期限までに仕事を仕上げる事ができなかった。やや納期意識が薄いように思われる。ゴールから逆算して計画し、タイムマネジメントを強化することを望む。
  • 限られた時間の中で最大限の成果を出すために、どのくらいの時間で何を行う必要があるのかを考え、スケジューリングするトレーニングが必要です。

仲間意識が強く、チームワークよく課題に取組む協調性があること、状況に対応する分析力があることが2017年の新入社員の特徴です。真面目な様子で周囲の期待に一定の水準で応えることができます。
しかし、協調性や真面目さの体現も、私たち先輩社員とはズレがあり、多分に幼さが残ります。指導者はこのズレを認識して新入社員を指導しなければなりません。そのためには、次の3点を意識して、彼らと視界を共有することが必要です。
①仕事を教えるとき、指示をするときは、作業内容を具体的に、分かりやすく、納得がいくまで説明します。簡単な作業であっても、「分かるだろう」「できるだろう」は避けるべきです。こうすることで、私たちが思う以上の負担が新入社員にかかることを防ぎます。
②周囲への配慮と責任感が身につくように、仕事の前工程と後工程を説明して、彼らもその一端を担っていることを指導してください。なぜなら、彼らは課題や環境を応用的にとらえること、想像力をもって対応することが苦手で、仕事や一人ひとりの社員の組織への影響力を把握できるまでに時間がかかるからです。
③小さな仕事であっても動機づけを行い、新入社員の現状スキルより少し挑戦的な目標を設定できるようにしてください。彼らは、物事に対しての緊張感がおしなべて薄い傾向にあります。「もっと頑張る」という意識が希薄で設定目標が低く、挑戦的な行動がとれません。こうした状況が続くことは、新入社員の成長を妨げてしまいます。

《調査を終えて》2017年度新入社員育成の提言

2017年度新入社員労働に関する意識調査により、新入社員の働く意識の傾向が明らかになりました。

設問1「会社の先輩や上司に何を期待するか」は、「仕事以外の話もできる雰囲気があるとよい」が36%、「マナーや仕事の進め方の基礎を教えて欲しい」が32%で、この2つの選択肢が全体の約7割を占め、仕事や会社への漠然とした不安が表れた結果と言えます。

設問2 「働く上で重要だと感じていること」の回答は、「同期や先輩との良好な人間関係」が42%と最も多く、この設問でも職場の雰囲気を重視する傾向が分かります。次点以降は「仕事がこなせる能力を身につける」37%、「仕事と私生活の両立」15%、と回答率、順位ともに昨年と大きな違いはありません。1位回答と2位回答は昨年2016年にそれまでの結果と逆転していますが、この傾向が今後も続くかは注視が必要です。

設問3 「仕事をする上でモチベーションとなる事柄」の1位回答は「自己実現」31%、次点は「社会人としての成長」で23%でした。注目すべきは、当調査を開始した2014年当初は7・1%の回答率だった「給与、昇給、昇格」が、3年の歳月を経て19%に増加し、順位も最下位回答から3位に上がってきたことです。ご存知のように動機づけは賞罰に依存しない内的動機づけと賞罰や義務によってもたらせる外的動機づけに分けられます。早期の離職を避けたい企業側としては、持続性があると言われる内的動機づけ「自己実現」や「社会人としての成長」などの回答率が下がっていることは、憂慮すべき事態ではないでしょうか。

ここで、登壇講師119名の報告書から分析した「強み・弱み」を見てみます。
登壇講師から寄せられた報告書では、昨年と比較して「素直」のキーワードが減少しています。数値をみても2016年度は17%と1位回答でしたが、今年は10%で順位も4位にとどまっています。多くの若い世代とともに仕事をしてきた立場で言うと、素直であることは、人が成長をするための最も重要な資質の一つといってよいと思います。
ある講師から、受講者に対し研修態度の指摘をしたところ、聞き流されたという報告が挙がりました。私どもの研修は、受講者同士がライバルであったり、チーム対抗の競い合いがあったりしますので、その成績や成果に集中するあまり、立ち居振る舞いに気持ちが及ばなかったのかもしれません。もちろん、その後厳しく、人を敬う心、気配りの大切さを指導して理解して頂きましたが、所属企業の先輩や上司が見守るなかでのそうした態度は、今年の新入社員の「素直さ」が昨年よりも薄れている象徴的な現象であったと思います。
素直に研修に没頭すると、深層的に多くの学びを得ることができます。新入社員に限らず、人として素直さを忘れてはいけないと思うところです。
一方で、今年、多く挙げられたキーワードが「幼さ」です。昨年も“学生言葉が抜けない”などの関連表現として「幼さ」が挙げられていましたが、今年は、それとは少しニュアンスが違います。生活態度、思考性なども青年になりきっておらず、一見、真面目な受講態度とは整合性がとれません。
しかし、119通の報告書を読み込むうち、見えてきたことがあります。それは、今年の新入社員の見通しの甘さ、想像力の低さです。
売り手市場であった就職活動の影響かとも思い、また、競争原理を避けた教育方針のもと学生生活を送った影響なのかとも思います。
いずれにしても、今、学ばなければ自分達にどのようなデメリットがあるのかが想像できず、残念ながら緊張感や真剣みに欠けているのです。大人である私たちは、自分の行動がいずれ自分に返る「善因善果」「悪因悪果」を経験で知っていますが、今年の新入社員はこのメカニズムをまだ認識できていない様子です。これが、真面目であるのに学びに一過性があり、どこか幼い印象を形成している要因ではないでしょうか。

※ 2017 年度新入社員における強み弱みランキング(n=1410)
強み:1位「誠実で真面目」12%
2位「分析力があり思考力が高い」11%
3位「チームワーク・協調性がある」10%
弱み:1位「言動に緩さ・幼さが目立つ」23%
2位「主体性・積極性・発信力が弱い」19%
3位「元気がなく活性が低い」9%
3位「緊張感に欠け学びが持続しない」9%

設問4 「指示を受けた仕事で不明点があったときの対処」は、「指示を受けた人に確認する」35%、「周囲の人に確認する」31%、「調べて進め方を考える」23%で、昨年同様、この3つに回答が集中しました。仕事の進め方や、集団・組織での立場について問題なく理解がなされていることが分かります。しかし、チャレンジ精神や主体性を表す「調べて進め方を考える」と「まずはやってみて判断する」を合わせた回答率が、昨年と比較して約2%減少しています。小さな変化ですが、新入社員の自律性を計るうえで注目が必要です。

設問5 「あなたが先輩や上司から期待されていること」は、「不明点はすぐに聞き進める」「先輩を進んで手伝い仕事を覚える」「周囲を見て気配りある行動をする」の3つが20%を超える回答でした。私たち先輩の立場から見ても、これらは大切であり、こうした後輩を指導していきたいと思います。しかし、職場では必ずしもここがマッチングしているとは言えず、新入社員との間にコミュニケーション不全も起こります。質問をしやすい雰囲気であること、先輩が理想的なロールモデルであること、職場に気配りがあることが、新入社員に上位回答3点の行動を体現させる条件ではないでしょうか。

設問6 「将来、海外で働きたいか」は、今年も「スキルが身についたら働きたい」の回答が最も多く、回答率は46%でした。アンケートにご協力をいただいた企業には、海外に支社・支店をお持ちの組織も多く、現実的な将来を見据えた回答をしたものと思われます。語学力はもとより、社会人としての基礎や業務知識を本社組織のある国内で身につけたいと思うのは当然の結果かもしれません。

以上の集計を受け、ヒップスターゲートは、新入社員および若手社員に求める人材像を「答えのない課題に恐れず挑戦できる人材」とすることを提言します。成長するためには、自分のやり方を曲げて挑戦することが必要です。新たに踏み出す一歩は、期待より不安が先に立つこともあるでしょう。しかし、自身の明日にもっとも影響力があるのは、他の誰でもない自分であることを知ってほしいと思います。2017年度の新入社員の皆さんが、闊達に一歩を踏み込めるように。「答えのない課題に恐れず挑戦できる人材」を創出するのが、私たちヒップスターゲートの使命と心得ます。

 

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