新入社員研修が近づいて企業の担当者が悩むのがそのカリキュラムではないでしょうか。当然のことながら、その年や時代背景によって新入社員の傾向が異なります。また、これまでの新入社員研修における問題点をどう改善していくのか? というのも重要ポイントとなりますよね。ここでは「新入社員研修」の課題と即戦力化の鍵について考えてみたいと思います。
新入社員研修の目的
新入社員研修の目的は『“学生”から“社会人”への意識変革』です。“学生”は、上げ膳据え膳で教育を受ける「受け身体質」が基本ですが、“社会人”は、自ら考え自ら動くという能動的な働きによって給与を得ます。つまり学生は、教育サービスを受けるお客様の立場から、自らがサービスを提供する立場へ意識の変換をする必要があるのです。
16年間(義務教育9年⁺高等教育3年⁺大学4年)受け身で過ごしていた意識を変えるのは至難の業ではありませんが、その実現のために、社会人としての心構えやマナー、コミュニケーション方法を学んでいくのです。
新入社員研修では企業文化や業務内容・知識を学びますが、それ以前に必要とされる大切なポイントがあります。
1. “学生”から“社会人”への意識変革
2. 社会人として相応しいビジネスマナーの習得
3. コミュニケーション(相手本位)・チームワーク(組織貢献)の習得
4. 目標達成意欲・責任感・自立心の醸成
5. コンプライアンス・情報管理への自覚
多くの企業がこれらのポイントのうち、“学生”から“社会人”への意識変革に新入社員研修の8割近くのウエイトを置いている現状です。もちろんこれら能力のすべてが新入社員研修の期間内だけで身につくものではありません。その為、その後のフォローアップの実施が必然となります。
企業が求める即戦力化とのギャップ
当然のことながら、新入社員にも入社のその日から経費が発生します。企業はできるだけ早い時期の戦力化を望みますが、その実現には高い壁があります。それは、人事側(指導者)と新入社員の意識のギャップです。
現代においては子の豊かな人間性を育む、両親や祖父母、地域の人との触れ合いを十分には望めなくなりました。また、16年も受け身の生活を送ってきたため、新入社員は先輩を見て盗む(真似る)という自主的な意識が希薄です。また人事側(指導側)としても、新入社員に厳しく接したことが原因で、すぐに辞められては困るという気持ちもあって、結局のところ中途半端な新入社員研修で幕を閉じてしまうケースが多々散見されます。ちなみに2015年度の新入社員の特徴として、柔軟性はあるが酷使すると離職する「消せるボールペン型」と言われています。その年の新入社員の傾向もそうですが、雇用した社員の特徴を把握した上での新入社員研修を行っていくことが必要となるでしょう。
基礎教育の補填も重要
「打たれ弱くて叱ることもできない」
「競争心やハングリー精神にかける」
「指示待ちが多い」等
社会人基礎力の補填を新入社員研修で行うことも必要なのです。一方、新入社員研修でこれらに時間や労力をかける余裕がないというのも企業側としては正直な意見だと思います。しかし既に入社して仕事をしている社員の中には、自律心が乏しく、モチベーションが低い方がいるのも事実ではないでしょうか。そこで、是非取り入れたいのが年代の離れた講師ではなく、同世代の先輩社員をメンターとして活用することです。新入社員の気持ちが理解でき、立場を理解することもできるからです。新入社員に寄り添いながら、社会人基礎力の大切さを実践をとおして教えていくことができます。
自ら動ける人間を作ることが即戦力化のカギ
最後に新入社員を即戦力化する為のポイントを考えてみましょう。業務内容や仕事の進め方は仕事をしながら覚えていくものです。新入社員研修中に必ず新入社員に身につけさせたい能力は「自ら考え自ら動く力」です。
・分からないことがあってもそのまま放置する
・先輩や上司が忙しそうだからと勝手に判断し報告・連絡・相談を行わない
・何とかなるだろうと仕事を抱え込んでしまい、トラブルになってから露呈する
・興味がない事、自分に関係ないことは無関心
これらが常態化してしまうのは、仕事を自分事として捉えていないことが根底にあります。
・分からないことはすぐに尋ねる
・自分が今どうするべきかを考えて動く
・知らないことを知ろうと行動する
こうして仕事を進めれば、知識も深まり徐々に能動的に行動ができるようになります。しかし、自分で考えずに指示を待つことが当たり前になると、即戦力化させることはまず不可能です。活躍できる社員ほど、知識や情報にも貪欲で常に社内外の動向にアンテナを張り、今自分がやるべきことを探りながら行動しています。それが行えるからこそ、上司のサポートもスムーズに行うことができ重宝される社員として評価されるのです。(=フォロワーシップの発揮)
新入社員研修のカリキュラムを考える際は、わずかな研修期間を通じて到達してほしい新入社員の状態について、今一度、整理して見ることをおススメいたします。
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