人類誕生からずっと生存源泉であった”インフォメーション(情報)”と現代の企業活動について考えてみた
2015.08.06
ツイート以前、IT(情報技術)という言葉は、日本では誤解されているのではないかと書いた。英語の得意なある方から、「日本では、手段偏重なとらえ方がされていて自分もそう思っている」という感想をいただいた。そのことについて、別の角度から書いてみる。
五感という言葉がある。この言葉の意味するところは、人がまさに、情報を扱う生き物であることを物語っている。実は、人類は誕生してからずっと生活環境を脅かす敵(野獣など)にはどういう動物がいて、それがどこにいるかなどの情報に敏感でなくては生きていけなかったことは、容易に想像できる。
古代エジプト、古代ローマの時代より、敵国の情勢や動き・配備の情報を、商人や伝令(日本では忍びの者など)を通じて集めることに長けた国家・将軍が生き残ってきた。ユリウス・カエサルは、トップであると同時に情報参謀でもあったと考えて差し支えないであろう。日本でも、黒田官兵衛、竹中半兵衛、本多正信、柳生但馬守などは、今流にいえば情報を扱う手段を駆使できる人材と考えることができるだろう。その意味では、まさに”智恵としてのIT”を駆使できる情報参謀であったと考えることができる。
戦いに勝つには、戦略が必要だが、戦略を立てる前に情報 ―しかも正確な情報― がなければ何もできない。
不正確な情報を頼りに戦を仕掛けて負けた軍隊・将軍は数えきれない。企業経営も全く同じである。
実際のところ、企業(“あらゆる組織”といってもよい)活動をしているあらゆる人たちが、正確な情報を欲しているのは、よく見かけることである。競争企業がどういった商品を開発しているのか、海外の事情がどうなっているのか、調達先の資金繰りに問題はないのか、政治や行政の場においては、言わずもがなである。恐らく、問題は、ある意味で、そういったことが当たり前のこととして考えられている中で、IT業界あるいはメディアが、ITを扱うことを何かとてつもなく難しいことを行うように語ることではないかと思っている。実際には、誰もがやっていることである。ただ、それが効率よく行われているのか、本当に必要な情報が手に入っているのか?という点には課題は満載なのだ、ということなのだと思う。
今、必要なことは、ITという言葉に惑わされることなく、正確な情報を持つことの価値を改めて見直し、そういった情報を活用することで、市場競争に勝つ方策・戦略を導き出す仕組みを構築することではないだろうか。ドラッカーも語っているように、
現代は”非顧客”(潜在顧客)が重要であり、そういった人たちが何を望んでいるのかを知ることが、
競争商品の動向把握とともに競争力の維持・強化に重要な要素となっている。
ビッグデータの話題が一般紙をにぎわす時代であるのは、データや情報の価値があらためて見直されている理由である。データや情報の価値を活かす仕組みが、“情報システム”と言われるものの本当の姿であり、そのようにとらえると、情報システム、あるいは“情報流”(情報もPDCAを回すことが必要)を適切に管理することが、血流のごとく重要であるという認識に至るに違いない。
IT投資が少ないという統計の結果を嘆く前に、ITを使うことは昔からやっていることで、何も難しいことではない、ということを広める方が先なのではないかと考えるこの頃である。