誰を幸せにするのか
人事の業務は、基本的に、経営サイドに重きを置いて誘導していくことが自然と増えることでしょう。人事・総務・経理という一般管理部門は、経営者の右腕、懐刀とでもいうべき位置づけに居ます。
たとえば、就業規則の改変といった業務も、労働組合の意見を聞けば労働基準監督署は受理してくれて、合意を得ているかどうかは問われません。しかし、こういう考え方が合法的な労働法の労務管理の進め方だと仕事を進めていくと、長い目で見て、いったい誰のために仕事をしているのかという疑問が湧いてきます。
賃金の仕組みをどうするか
人事の仕事の典型的なもので、賃金制度があります。働くことと報酬の関係を決める非常に大切な仕事です。客観的に見て、皆さんの企業の賃金制度は、自社の従業員を幸せにしているでしょうか。正規労働者と、非正規労働者のバランスはどうでしょうか。全従業員を幸せにしているでしょうか。社会の動静に合わせて運営してはいないでしょうか。
長く続いた年功序列式の賃金は日本経済が上昇の一途をたどる段階で、日本全体の国民のライフサイクルを強力に支えてきました。それが、バブル崩壊以降、失われた20年を経て、日本経済は衰退することはなくとも、上昇の気配のない中での努力と試行錯誤の連続でここまで来ています。賃金の仕組みとしては、国際競争力や変革を期して、実力主義や成果主義といった大きな賃金制度の見直しに舵を切った企業も多いことでしょう。一方、従来型の年功序列方式を取っている企業もまだ多くあります。一概にどの制度がベストとは言えませんが、正社員・非正規従業員の賃金と働き方を大きな尺度で眺め、幸せづくりに貢献できているのかと常に自問を繰り返さなければなりません。
一度動き始めると変更をすることの苦手な国民性から、修正は容易ではない大きな流れです。こうした問題に対し、世の中の体制を言い訳に自社独自では動けないとか、誰からも指示されないからと、世の人事マンは、行動と考えることを停止していてはいけません。小手先の改善ではなく大きな目的を認識するべきなのです。
誰が変えるのかと言うと、人事が変えていくのです。
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