人事教育担当者が知っておきたいブラザー・シスター制度のコト
2016.05.23
ツイートどの企業でも、新入社員の早期退職をある程度想定しているのが事実です。これは、今に始まったことではなく以前からある事ですが、せっかく入社して教育研修をしたにもかかわらず早々に辞めてしまうのは残念なことです。新入社員にとっても、上方志向ではなく「ついていけなくて、、」とか、「なじめなくて、、」といった理由で退職したという経験は、将来によい影響を与えるとは言えないでしょう。今回は、通常の教育や研修方法とは違って、新入社員を育てる仕組みを作ることを提案します。
企業の教育担当者は、新入社員研修の効果を持続させるために、OJTによる育成システムを作っておくとよいでしょう。しかし、このOJTの運用は企業ごとに異なった進め方が望ましく、決まった形式、いわゆる「正解」がありません。また、この状況は企業内でも部署ごとに方法が変わり、当事者の取り組み方によっても違うので、教育担当者が実際のOJTの進行を把握することは難しいのが現状です。
OJTでの先生役である上司としても、自らがプレイヤーであることを求められています。そうすると、自分の業務をこなすことに時間をとられ、新入社員の育成まで手がまわらないという場面も相当出てきます。その結果、思いやりのある活動ができず、なによりコミュニケーション不足になって、社風までもぎすぎすしてよくないという状態まで引き起こしてしまいます。
そのような環境では、後輩を温かく育てる雰囲気にはなりにくく、新入社員もいづらくなって孤独感を持ちながら退職してしまう、ということも想像ができます。そうした状況のリスク回避として、新入社員を“ブラザー”や“シスター”として見守る先輩担当をつけてあげるという制度があります。この場合、新入社員と先輩の1対1だと「相性が合わない」、「先輩社員に指導する気がない」などの理由で名前だけの支援システムになってしまいます。制度が形骸化しないよう、お兄さん役、お姉さん役の二名もしくはそれ以上の複数名を見守り役に着けておくことは、大変有効な人材育成手法です。企業によっては、ブラザーのみならず、ファミリーまで拡大し、父親役、母親役まで、動員して、見守る仕組みを作る企業もあります。
面倒を見る機会には、経費も負担してあげて、食事会なり、ミーティングの茶菓代なり、企業が負担してあげる仕組みにしておくとよいでしょう。その出費のあるなしで、実際に制度を活用してくれているのか判断できるからです。
また、ブラザー役、シスター役についてくれる人には、単に見てあげなさいと命令するのではなく、ブラザーやシスターのOJT研修の場を用意してあげて、企業として期待すること、新入社員の支援の考え方等、仕組みの活用方法、心構えを教えてからスタートするとよいでしょう。