HRD用語【心理的安全性】
2021.10.15
ツイート心理的安全性とは、「psychological safety(サイコロジカル・セーフティ)」という心理学の用語です。1999年、ハーバード大学で組織行動学を研究するエイミー・エドモンドソン教授が提唱した概念です。 エドモンドソン教授は心理的安全性、「チームにおいて、他のメンバーは自分が発言することを恥じたり、拒絶したり、罰をあたえるようなことをしないという確信をもっており、チームは対人リスクをとるのに安全な場所であるとの信念がメンバー間で共有された状態」と定義しています。 企業内においては、いかなる同僚や上司も自身の発言を否定せず、安心感を持って自身の意見を発言できる状態を指します。
心理的安全性が注目されるようになった背景
心理的安全性が注目されるきっかけとなったのは、2015年に発表された米Google社の発表です。「心理的安全性は、成功するチームの構築に最も重要なものである」というメッセージを発信し、一気に心理的安全性に対する注目が集まりました。
Google社では、より生産性の高い働き方をしているのはどのようなチームかを判断するため、2012年から約4年に渡り研究を続けてきました。「プロジェクト・アリストテレス」と題し、社内の数百に及ぶチームを分析した結果として、心理的安全性がピックアップされたのです。
企業における心理的安全性
企業における心理的安全性において注意すべきは、仲が良いとは区別する必要があることです。従業員同士が友人のようなコミュニケーションを取れるようになることが、心理的安全性ではありません。
また、従業員に対して自己開示を求めすぎるのも良くありません。あくまでも適度な距離感を維持しながら、必要な信頼関係を構築していくことが心理的安全性には重要なのです。
心理的安全性が確保される影響
では、心理的安全性が確保された場合、企業にはどのような良い影響があるのでしょうか。
精神的な負担が軽減する
心理的安全性が担保されていない職場では、メールやチャットツールを通じたテキストコミュニケーションはもちろん、MTGなどの対面コミュニケーションといった、あらゆる場面で精神的な負担が掛かっています。
「この発言により、何か言われたらどうしよう」「怒られたらどうしよう」という気持ちが蓄積されていくと、円滑なコミュニケーションには繋がないでしょう。また、自身の意見に蓋をしてしまうため、不平や不満が溜まりやすい状態といえます。
心理的安全性が担保されることで、本来必要ないはずの精神的負担が軽減されるほか、スムーズなコミュニケーションに繋がるでしょう。
課題を早期発見できる
心理的安全性が担保されることで、1回あたりのコミュニケーションの負担が軽減します。その結果、細かなコミュニケーションが積極的に行われるようになるでしょう。
結果としてスピード感を持った報連相を実現できるため、早期に課題を発見し、改善していくことが可能です。何より、心理的安全性が担保されていれば「自分の意見に耳を傾けてくれる」という安心感も生まれます。
結果として報連相に留まらず、新たな提案や意見を積極的にコミュニケーションすることが可能となるため、新たなイノベーション創出などに繋げることが可能です。
日頃のコミュニケーションや態度、行動を意識することで、心理的安全性は改善することが可能です。一度失くしてしまった状態からの回復は難しいため、一度築いた心理的安全性を維持することが重要です。