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あゝ人材教育!3分ななめ読み

単にOJTを取り入れるだけでは新入社員はなぜ育たないのか?

2016.04.07

OJTはいまや多くの企業で取り入れている人材育成手法ですが、必ずしも成果に繋がっているとはいえず、取り組み方に悩んでいる企業も多いようです。

「OJT」のメリット、デメリットを踏まえたうえで、企業が陥りやすい「OJT」の問題点について考えていきましょう。

OJTとは

まずOJTの意味を簡単に確認します。
OJTはOn the Job Trainingという英語の頭文字をとった言葉で、職場内訓練という意味です。その目的は、仕事の取り組み姿勢や業務の行い方などを上司や先輩が指導し、新入社員を一人前の社会人に育成することです。新入社員は、アルバイトの経験はあっても、社会的に責任のある立場での仕事は初めて。仕事とは何か?どう取り組むべきか?という所から指導していく必要があります。

さて、OJTは第一次世界大戦中に行われていた「4段階職業指導法」を取り入れて実施することが必要とされています。ここでご紹介しておきましょう。

[4段階職業指導法]
①まずは手本を見せる → ②説明する → ③やらせてみる → ④改善点などを指導する

OJTのメリット

続いてOJTを行うメリットを整理します。

1. コスト削減
仕事をしながら社内で指導が出来るので、外部から講師を招く必要がありません。また研修のためだけに時間を割く必要がなくなります。

2. 個人指導が出来る
多くの社員に一斉に行う研修では、講師の目が行き届かず、細やかな指導が出来ないこともあります。しかしOJTは1対1もしくは少人数制で行うことから、家庭教師のような個人指導が可能なのです。

3. 指導者の能力アップ
「指導」とは難しいものです。しかしそれに取り組むことで、指導者の説明能力や、考える力、リーダーシップなど様々な成長が期待できます。

OJTのデメリット

1. 指導者への負担が大きい
仕事をしながらのOJT活動は、指導者に時間的・精神的な負担がかかります。仕事との両立が難しいというデメリットもあるでしょう。

2. 指導者の能力にムラがある
分かりやすく説明するだけでなく、相手のやる気を引き出すことも要求されるため、コーチ的存在の指導者の能力に後輩の成長が左右されます。

3. 指導者を指導する時間が必要
OJTは指導者にも一定のスキルが必要です。指導者研修を受けるなど学習が必要であり、指導者の上司はOJT期間中のフォローが必須となります。

OJTの問題点

現在OJTを取り入れている企業が共通して抱える課題には以下のようなことがあります。

「OJTで結果を出せる指導適任者がいない、、、。」

企業側が感じているように、入社後3年以内に早期退職をした社員の多くが企業のOJT制度に不満を感じているということが分かっています。同時に、OJT指導者を任された社員からも負担が大きくストレスも大きいという声が多くあがっているのです。その背景には従業員にほぼ丸投げでOJTを任せてしまい、結果だけを評価するという企業側の姿勢があります。

下が育たないのは指導者の能力不足だと責められても、何のサポートもない状態で教師でもない従業員にその能力を求めるのはあまりに酷でしょう。社会人として先輩ではありますが、指導となるとすべての人がその能力を持っているわけではありません。企業側は定期的に状況を確認しながら、指導方法なども含めてフィードバックする体制を取らなければなりません。

OJTは関係作りからはじまる

指導者を任されて「出来るだけ早く後輩を一人前にしなくては」とそこばかりに意識が集中している人を多く見かけます。しかし、相手も自分と同じ感情を持った人間です。教え方はもちろんのこと、相手との信頼関係を作り上げる事を忘れてはいけません。休み時間に何気ない会話をするなどして、相手の日常にも興味を持つことが大切です。人は自分を理解しようとしてくれる相手には心を開き、その人の指導に応えようとするものです。

相手が何を不安に思って、何に困っているのか?どこを見て、何を目指しているのか?という価値観や考え方を知り、それらを知った上で指導に当たることが大切なのです。さらに、ここでは「これは間違いだ」という頭ごなしの指導ではなく、相手の意見を尊重し、話を聞くという姿勢が大切です。話を聞いた上で、何故こうするべきなのか?という意味合いを教えていくことが重要でしょう。

OJTで教えるべきなのは意味合い

会社のルールや社会のルールを教えるのに、「○○なときはこうする」「△△な時はこうする」という指導を行っていませんか?この指導法だと、1から10まですべてを教えなくてなりません。また、教わっていない場面に出会った時、指導を受けた人は対処ができず戸惑ってしまうことでしょう。本来、OJTにおける指導は、答えを導き出す「考え方」や「意味合い」を伝えなくてはならないのです。

例えば「ミスは出来るだけ早く上司に報告する」のは、被害を最小限に抑え迅速に対処するためですよね。その意味合いを指導することで社員の応用力が育つのです。考える力を身に着けさせることは、早期に独り立ちできる社員を育成する為に欠かせないポイントです。

以上のように、OJTがうまく機能しない原因の多くは、コスト削減と名打った任せっきりのOJT制度にあります。また、「先輩の技を見て盗め」「背中を見せて育てる」という理論は現在の社会には、もはやそぐわないということもあるでしょう。

会社をあげてOJTのサポート体制を強化し、指導する側、される側、そして企業にとっても本当の意味で信頼関係を築き、安心して仕事に取り組めるOJTにしたいものです。

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