2019.10.28

【ザッポス視察レポート2019】注目を集めるAmazon傘下のザッポスの真相に迫る inラスベガス

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ラスベガスを拠点に展開する「ザッポス」は、オンラインシューズ販売の先駆け的存在として知られています。この度、株式会社ヒップスターゲートの渡邉が、同社の視察に訪れる機会に恵まれました。ザッポスの独自の企業文化や、顧客満足度向上に向けた取り組みなど、同社の魅力的な側面について、詳しく見聞きしてきましたので、ここにレポートさせていただきます。

   

ザッポスは、靴の通販小売事業を展開する企業です。同社は、「ザッポス伝説」や「ザッポスの奇跡」と称されるほど、高い評価を得ています。ザッポスは、アメリカをはじめ、現在世界的に注目を集めている企業です。同社は、顧客満足度の高さや革新的なビジネスモデルなどが評価されており、業界をリードする存在となっています。

アメリカのビジネス界は、GAFA(Google、Amazon、Facebook、Apple)をはじめとする世界的な企業が数多く存在しています。その中でも、オンラインショッピングの分野で大きな存在感を示しているのが、アマゾンです。

アマゾンは、日本においても最大級のECサイトとして知られています。日本最大のショッピングサイト「楽天」のユーザー数を上回るほどの規模を誇っているのです。

そして、アマゾンが2009年に買収したのが、今回視察の対象となったザッポスです。アマゾンはいわゆる「顧客第一主義」を掲げており、その理念に共鳴したザッポスが、アマゾンによって800億円で買収されることとなりました。

ザッポスが注目を集める背景には、アマゾンが高い評価を下したその独自の企業文化があります。ここでは、ザッポスの概要と、その独特な企業文化について詳しく紹介していきます。

ザッポスとは

そもそも、ザッポスとはどのような企業なのか、まずは創業期から現在に至るまで時系列で追っていきましょう。

創業期

   

ザッポスは1999年に、サンフランシスコでニック・スウィンマンによって設立されました。当初は「ShoeSite.com」という名称でスタートしましたが、わずか2ヶ月後に「ザッポス(Zappos.com)」に社名を変更しています。

創業当初から、ザッポスには大きな可能性が感じられました。創業年の同年に、現CEO のトニー・シェイとベンチャーキャピタリストのアフフレッド・リンから200万ドルもの出資を受けていたのです。この事実からも、ザッポスの事業が高い評価を得ていたことが分かります。

ニックとトニーが共同CEOとしてスタートを切った後、ザッポスは順調に成長を遂げ、今日では世界有数の靴ECサイトへと発展しています。創業時から感じられた同社の可能性は、その後の飛躍的な成長によって実証されたと言えるでしょう。

年々売り上げを拡大し急成長

ザッポスは創業当初から急成長を遂げ、着実に事業規模を拡大してきました。

2000年には160万ドルの売上を記録し、わずか1年後の2001年には5倍の860万ドルに達しています。この急激な売上増は、ザッポスの特徴であるロコミ中心の集客力によるものでした。この集客力は後に同社の企業文化の基盤となっていきます。

2003年には7000万ドルの売上を達成し、顧客第一主義を全社的な指針として掲げるようになります。この方針のもと、主力事業であったドロップシップメントを中止するなど、顧客サービスの向上に注力しています。このような大胆な施策は、創業間もない企業としては非常に勇気のある取り組みと言えるでしょう。

その後も売上を伸ばし続け、2004年には1億8400万ドルを記録。ベンチャーキャピタルからも3500万ドルの資金調達に成功しています。これにより、靴ECサイトから子供用品やメガネ、アクセサリー、バッグといった商品ラインナップの拡大を実現し、事業規模をさらに拡大していきました。2007年には8億4000万ドルの売上高を達成するまでに成長を遂げています。

急成長を遂げAmazon傘下に至るまで

ザッポスは創業当初から野心的な目標を掲げていました。2001年ごろ、同社は世界的なビジネス誌「フォーチュン」の「働きがいのある企業100」ランキングに2010年までに掲載されることを目指していたのです。そして、2008年にはその目標を早期に達成し、ついに同ランキングに掲載されることができました。これは、同社の売上や業績といった定量的な要素だけでなく、企業文化や従業員の満足度といった定性的な側面も高く評価されたことを示していました。その結果、ザッポスの名声はアメリカ全土に広まることとなりました。

2009年、ザッポスの経営陣は、Amazonによる買収を検討するようになりました。利益の追求とAmazonとの提携に前向きな一方で、同社が築き上げてきた独自の企業文化を損なうことを危惂していたようです。結局のところ、ザッポスの経営陣とAmazonのCEOであるジェフ・ベゾスとの協議の末、買収が決定しました。これに伴い、ケンタッキー州にあったザッポスの自社工場が閉鎖され、従業員はAmazonの管理下に置かれることとなりました。しかし、ザッポスの独立性と独自の企業文化は、Amazonの管理下においても維持されています。

買収から現在のザッポス

ザッポスは、Amazon に買収されるまで順調に業績を伸ばし、さらにフォーチュン誌にも掲載されるなど、順調な経営を続けていました。しかし、2012年に個人情報の流出事件に巻き込まれ、団体訴訟に発展してしまいます。この事件は、ザッポスのコンピューターシステムがハッキングされたことが原因で、2000万人以上の顧客情報が流出したのです。この事件により、ザッポスの行く末が不透明になったのは確かでしょう。

その後、2013年にはラスベガスに拠点を移し、再スタートを図ります。そして2015年には、「ホラクラシー」と呼ばれる自主管理システムを導入しました。ホラクラシーは、企業内部の役職や階級を置かない、フラットで流動性のある組織形態です。これにより、一般的な組織では管理層が意思決定権を持つのに対し、ホラクラシーでは意思決定権が分散されるようになります。そのため、業務やプロジェクトに関する責任も、部署やチーム、個人といった形で分散されるようになり、社員の主体性が求められる組織に変化していきました。

アマゾンが800億ドルもの巨額を投じて買収したザッポスは、その革新的な経営手法によって注目を集めてきました。しかし、ハッキング問題などの課題もあり、同社の歩みは必ずしも順調とは言えませんでした。

ザッポスは、従来の組織構造から脱却し、ホラクラシーと呼ばれる斬新なシステムを導入しました。これは従業員の自主性と柔軟性を高めることを目的としたものでしたが、必ずしも全面的な成功とはならず、従業員の14%にあたる210名もが自主退職に至ったのです。

このことは、企業にとって最も重要な資産である人材を削減しながらも、徹底した顧客志向を貫き通す同社の姿勢を示しています。ザッポスの革新的な経営スタイルは、世界中から注目を集めるに至っているのです。

ザッポスの戦略とコア・バリュー

   

ザッポスは、ホラクラシーをはじめとする革新的な改革を実践することで知られています。その成功の鍵は、顧客を最優先にする経営姿勢にあります。

具体的には、「口コミ戦略」と「リピーター確保」に注力しています。これらを支えるのが、ザッポスの10項目にわたるコア・バリューです。この企業理念が、従業員一人ひとりの行動指針となっているのです。

顧客ファーストの姿勢は、ザッポスの根幹をなすものです。この考え方なくしては、同社の革新的な取り組みを語ることはできません。従業員の高いモチベーションと、顧客との強い絆が、ザッポスの持続的な成長を支えているのです。

 

  1. サービスを通じて、WOWを届ける
  2. 変化を容認し、その原動力となる
  3. 楽しさと、少し変わったクリエイトを行う
  4. 間違いを恐れず、創造的で、オープンマインド
  5. 成長と学びを追求しよう
  6. コミュニーケーションを通じて、オープンで素直な人間関係を構築しよう
  7. チーム、家族精神を育てよう
  8. 限りあるところから、より大きな成果を生み出す
  9. 情熱と強い意思を持とう
  10. 謙虚でいよう

 

以上の10項目のコア・バリュー、これこそが顧客ファーストを具現化している原動力。WOWというのは驚嘆を表す言葉なので、日本語の驚きの意。これは近年、多くの企業で重要視されている顧客体験とも言い換えることができ、顧客にとっての感動体験を与えようということになります。現在こそ、顧客の感動体験を掲げる企業は増えてきていますが、それをザッポスは先駆的に行なっていた企業であるとも言えます。

ザッポス社は、変化を受け入れることで、社員の減少を企業の活気と成長につなげています。ホラクラシーというコアバリューにより、社員一人ひとりが責任感を持ち、顧客中心の業務に取り組んでいます。

多くの企業では、従業員の意見を経営に反映するボトムアップの仕組みを導入していますが、ザッポス社はさらに一歩進んで、現場の社員にも経営の責任を持たせています。これにより、ボトムアップの仕組みを早期に実現しているといえるでしょう。

日本企業はトップダウンの傾向が強いとされていますが、ザッポス社の取り組みから、日本企業にも大きな示唆が得られるはずです。変化への柔軟な対応と、従業員の主体性を尊重する経営は、企業の成長と顧客満足につながるのです。

Amazonが渇望した企業ザッポス その関係性

ザッポスは、EC(電子商取引)サイトを中核事業として展開しており、主力商品は靴類です。同社は、靴以外にも子ども用品、メガネ、アクセサリー、バッグなど、幅広いカテゴリーの商品を取り扱っています。

EC サイトで商品を選ぶ際、消費者は価格、送料、レビュー、支払い方法、商品の見やすさなど、さまざまな要素を考慮します。その中で、Amazon は送料無料や使いやすいインターフェース、高品質な商品提供で知られており、多くのユーザーに支持されている代表的な EC サイトです。Amazon は世界最大級の EC プレイヤーとして君臨しています。

一方、ザッポスもAmazonに引けを取らない存在として知られています。ザッポスのユーザーは同社に強い愛着を持ち、高いロイヤルティを示しています。さらに、ザッポスの従業員も会社への愛着が強いことが特徴です。

ザッポスは急成長を遂げ、10年で売上 1000 億円を達成しました。この勢いに、世界最大手の Amazon も脅威を感じ、800 億円を投じてザッポスを買収しました。Amazon がザッポスを買収したことは、ザッポスのポテンシャルの高さを物語っています。通常、買収では経営権を譲渡することが一般的ですが、ザッポスは独自の企業文化を維持したまま、Amazon の傘下に入ることができました。この点においても、ザッポスの強みが発揮されているといえるでしょう。

企業文化を重要視した背景

ザッポスは特に優れた企業文化を構築した企業として知られているが、それは一朝一夕に実現できたわけではない。創業者のトニーが経験した失敗が、この企業文化の礎となっている。

トニーは以前、広告会社を2年で300億円の価値に育て上げ、その会社を300億円で売却するという成功を収めていた。しかし、この経験は彼にとって一種の失敗でもあった。利益追求に夢中になりすぎたため、心身ともに疲弊し、活力を失ってしまったのだ。これは、企業文化の崩壊を意味するものだった。

この教訓を踏まえ、トニーはザッポスに参画した際、企業文化の構築を最優先課題とした。その結果、ザッポスの顧客は強い愛着と熱烈なファン心理を持つようになり、企業の更なる発展の原動力となったのである。

このように、ザッポスの優れた企業文化は、トニーの苦い経験に根ざしたものであり、一朝一夕に築き上げられたものではない。むしろ、長年にわたる努力と試行錯誤の末に、ようやく形となったものなのである。

ザッポスのサービスからわかる顧客ファーストへの取り組み

   

ザッポスは顧客への徹底した配慮が同社の成功につながっていると言えます。同社のリピート率の高さは、送料・返送料無料、365日間の返品対応期間といった顧客に優しい施策によって支えられています。当時としては革新的だった24時間365日の電話サポートも、顧客満足度を高める重要な要素となっていました。

さらに、注文から8時間以内の迅速な配送や、色違いやサイズ違いの商品の同時購入と返品という柔軟な対応も、顧客ニーズに的確に応えるものでした。これらの取り組みは、企業にとっては費用負担が大きいものの、ザッポスは顧客第一主義を貫き、長期的な視点から利益につなげることができたのです。

このような徹底した顧客志向は、ザッポスの創業者であるトニーの失敗経験に根ざしているものと考えられます。顧客満足を何より重視する同社の姿勢は、他の企業にとっても参考になる成功モデルと言えるでしょう。

顧客ファーストの合理性

ザッポスの顧客第一主義は、現代のビジネス環境において合理的だと評価されている理由は、時代の変化と密接に関連しています。特に、消費者行動の複雑化とテクノロジーの発展が大きな影響を及ぼしているといえます。

まず、インターネットの普及とデバイスの多様化により、消費者は常時、企業の商品情報にアクセスできるようになりました。これにより、商品の購入機会が格段に増えたといえるでしょう。しかし、靴のように実際に試着しないと分からない商品も多く存在します。そこでザッポスは、顧客の利便性を第一に考え、色違いやサイズ違いの商品を同時に送付し、返品を前提とした購入を可能にしました。これは明らかに顧客ファーストの姿勢であり、現代のビジネスにおいて高い評価を得ているのです。

さらに、デバイスの普及により、消費者は商品を「選ぶ」ことが当たり前になっています。従来の店頭販売に加え、WebサイトやSNSなどのオンラインチャネルを通じて商品を検討し、購入に至るケースが増えています。その際、商品の口コミが大きな影響を及ぼすことが分かっています。ザッポスは、顧客の声に耳を傾け、それを活かしてビジネスを展開してきたことから、現代の消費者ニーズに合致しているといえるでしょう。

つまり、ザッポスの顧客第一主義は、テクノロジーの進化と消費者行動の変化に的確に対応したものであり、現代のビジネス環境において合理的であると評価されているのです。

顧客ファーストの成果

ザッポスは顧客満足度の高さで知られている企業です。その証拠の一つが、新規顧客の口コミ率が驚くべき43%にも上ることです。通常、オンラインショッピングの際に購入者がわざわざ口コミを書くことは稀ですが、ザッポスの顧客はそれほどの満足感を得ているのだと言えるでしょう。

さらに、ザッポスの顧客リピート率も75%と、極めて高い水準にあります。Amazonや楽天といった総合的なECサイトとは異なり、靴専門店のザッポスがこれほどのリピート率を誇るのは注目に値します。顧客が繰り返し同社のサイトを利用するのは、製品の品質や購買体験の良さ、そして何より企業への信頼感の現れだと考えられます。

このように、ザッポスの顧客ファースト志向は、口コミ率やリピート率という数値からも明確に裏付けられています。顧客満足度の高さは同社の大きな強みであり、他の企業が習得すべきノウハウだと言えるでしょう。

コア・バリューを実現する仕組み

多くの企業が、ザッポスのようなコア・バリューや顧客ファーストの企業文化を目指しています。しかし、これを実現するのは容易ではありません。ザッポスでさえ、様々な失敗を経験した後にようやく実現に至っているのが現状です。

企業文化の醸成には、CEOの顧客ファーストへの強い想いを事業に落とし込むことが出発点となります。そして、社員との対話を通じてその想いを共有し、社員一人一人が顧客ファーストを自分のものとして体現できるようにしていくことが重要です。

単に「顧客ファースト」を掲げるだけでは、社員にとってその意味が十分に伝わらず、実践につながりません。むしろ、顧客ファーストとはどういうことなのかを、社員一人一人が考え、自ら行動できるように促していくことが不可欠です。

ザッポスではこのような取り組みの一環として、ホラクラシーを導入し、社員に大きな責任を与えています。これにより、社員が主体的に考え、行動することで、結果として顧客ファーストに繋がっているのです。

つまり、企業文化の醸成には、CEOの強いリーダーシップと、社員一人一人の主体的な取り組みが不可欠なのです。一朝一夕には実現できない難しい課題ではありますが、着実に取り組んでいけば、ザッポスのような顧客ファーストの企業文化を実現することができるのではないでしょうか。

ザッポス取材レポート

ここからは実際に撮影してきた写真を元にザッポスについてみていきましょう。

座席はフリーアドレスではない

   

近年、多くの企業が、従来の固定的な職場環境から脱却し、フリーアドレスオフィスを採用し。その代表例が、IT系企業のザッポスです。ザッポスは、顧客満足を最優先にしながら、同時に従業員の個性を尊重する独自の社風を築いています。

ザッポスでは、従業員の外見に関して、髪の色や服装の自由度が高く、紫や緑の髪色を見かけることも珍しくありません。また、従業員の席には楽器やインテリアが置かれ、アクティビティスペースやフィットネススペースも設けられています。さらに、昼寝を推奨し、休憩ルームも完備されるなど、従業員の働きやすさを最大限に考慮したオフィス環境が整備されています。

このように、ザッポスは、従業員の個性を大切にし、ワークライフバランスの向上に取り組むことで、結果的に顧客満足の向上にも寄与しています。従業員の自由度が高く、リフレッシュできる環境が整っているからこそ、ザッポスは優れた顧客サービスを実現できているのです。

自由な社風は従業員の満足度や愛着を高める お金を超えた関係

   

企業で働く主な理由は多岐にわたります。最も一般的なのは給与収入でしょう。安定した収入を得ることができ、生活の基盤を築くことができます。しかし、ザッポス社の従業員の様子を見ると、単なる金銭的な理由だけではなく、企業と従業員の深い絆や、企業文化への共感といった要素も大きな動機となっていることが分かります。仕事を通じて自己実現を図り、社会に貢献することも重要な理由の一つです。企業で働く理由は人それぞれ異なりますが、お金以外にも様々な要因が複雑に絡み合っているのが実情だと言えるでしょう。

「ザッポスに出会えたことは、これまでの出来事の中で一番ハッピーなこと。毎朝目覚めると会社にいくのが楽しみで仕方ない。週末には月曜日が待ち遠しくてたまらないときもある」

参考:「ザッポスの奇跡」

この言葉に代表されるように、ザッポスは従業員の満足度が高く愛着を持って仕事に望んでいる社員が多いことで知られています。従業員を大切にするのは現代の企業経営のポイントでしょう。しかし、従業員からこのような言葉をもらうことは、簡単なことではありません。それを実現しているのは、やはりザッポスの企業文化であり、コア・バリューの存在が大きいことが伺えます。また、それを可能にしているのが従業員一人ひとりに責任があるホラクラシー制度なのかもしれません。

ザッスで働く従業員たちは、自社への強い愛着と誇りを持ち、仕事に対して高い主体性と情熱を発揮しています。彼らにとって、ザッポスでの就業は単なる金銭的な関係以上のものがあります。近年、若者を中心に「やりがい」や「働きがい」を重視する就職観が広まっていますが、ザッポスはまさにそうした従業員のニーズに応えられる企業だと言えるでしょう。もちろん、給与水準も無視できませんが、企業が従業員に提供できる「価値」こそが、優秀な人材を惹きつける上で最も重要な要素となっているのが現状です。ザッポスは、従業員の自発性と創造性を最大限引き出すことで、高い生産性と企業価値の向上を実現しているのです。

ソーャルビジネスの台頭や、企業のCSR(企業の社会的責任)への取り組みが増加してきています。これは、単なる資本主義的な労働ではなく、社会問題に積極的に取り組み、社会に貢献することが、従業員の幸福にもつながり、ひいては企業の成長にも寄与していると言えるでしょう。

従来の企業活動では、利益追求が最優先されていましたが、近年では社会課題の解決を事業の中核に据える企業が増えてきました。これらの企業は、単なる利益追求ではなく、従業員の幸せと社会貢献を両立させることで、持続可能な成長を目指しています。

このように、企業が社会的責任を果たすことは、従業員の士気を高め、企業イメージの向上にもつながります。結果的に、企業の業績向上にも寄与するのです。つまり、社会貢献と企業の成長は、決して相反するものではなく、むしろ相乗効果を生み出すのだと言えるでしょう。

社内制度も従業員ファースト

      

ザッポスが顧客ファーストを実現することができているのは、従業員ファーストの姿勢を社内共有し、具現化しているからでしょう。というのも、ザッポスでは社員の医療費を全て会社が負担しているのです。

企業の成企長には、社員の健康が不可欠です。そのため、社員の健康サポートに力を入れる企業が増えています。例えば、「最も働きがいのある企業100社」のランキングでは、ザッポスなどの企業が医療費の全額負担を実現しています。

医療費の全額負担は、企業にとって大きな財務的負担となります。しかし、ザッポスのような企業は、顧客第一主義の経営理念のもと、従業員の健康が重要だと考えています。つまり、社員の健康を支援することで、顧客サービスの質を高め、企業の成長につなげようとしているのです。

このように、社員の健康を積極的に支援する企業は、長期的な視点から競争力を高めようとしているのが特徴です。健康な社員が活躍することで、企業全体の生産性向上にもつながるのです。

社内通貨ザラー(ZOLLARS)の導入

ザッポス社は、従業員の良い行動を報奨する独自の社内通貨「ザラー」を導入しています。全従業員に毎月50ドル分のザラーが支給されており、これを使ってザッポス製のマグカップやキーボード、マウス、リュックなどの商品と交換することができます。さらに、勤続年数に応じてプレートも付与されるという仕組みです。

このような取り組みは、従業員のモチベーション維持に大きく貢献しています。ザラーを得ることで、従業員の良い行動を発見し、それを認めることができるようになりました。これは、ザッポスチーム全体の成長にもつながっており、企業のコア・バリューの実践にも寄与しています。

日本でも同様の試みを行っている企業はありますが、ザッポスのように金銭的な報奨を設けているケースは少ないのが現状です。ザッポスの取り組みは、従業員の士気を高め、企業文化の醸成にも大きな効果を発揮しているといえるでしょう。

また、こちらが帰り際に頂いたザッポスのカルチャーブックです。

     

 

まとめ

ザッポスは世界的に注目を集める企業です。その創業期から現在に至るまでの歩みを振り返ってみると、順調な成長を遂げてきたことがわかります。創業者のトニーをはじめ、退職した社員、セキュリティの問題など、決して平坦な道のりではありませんでした。

しかし、ザッポスは顧客ファーストの姿勢を貫き続け、顧客から愛される企業へと成長しました。さらに、社員に権限を与え、主体性を醸成することで、社員からも愛される企業となりました。

このような取り組みは、単なる企業の成長にとどまらず、雇用の創出や経済の活性化にも寄与しており、社会的にも意義のある事業へと発展してきたといえるでしょう。

ザッポスの事例は、日本企業にとって多くの示唆を与えてくれます。顧客や社員への配慮、そして社会への貢献という点で、ザッポスは学ぶべき点が多いと言えます。本レポートでは、ザッポスの歩みと成功の要因を詳しく紹介しましたので、各企業が自社の実情に合わせて実践していくことを期待しています。

 

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