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あゝ人材教育!3分ななめ読み

Win-Winが教えてくれる人間関係を成功に導くためのヒント

2021.09.17

今年の夏はビッグイベントがありましたね。そう、東京オリンピック2020です。

連日テレビで放送されており、多くの人が日本のメダル獲得に大いに盛り上がったことでしょう。しかし、その一方で結果を出せず、涙を流している選手も見たことでしょう。

それぞれの選手が、この日に向けて一生懸命努力をしたのにも関わらず、誰しもがメダルを獲得できるわけではありません。スポーツ競技とは、「誰かが勝てば誰かが負ける」といったシビアな一面があるのも事実です。

オリンピックなどのスポーツ協技は順位をつけるものなので致し方ないのですが、私たち人間はスポーツ競技に限らず、いろんな場面で「勝ち」に拘りを持っているように感じます。

例えば、読者の皆さまの中にも、ビジネスにおける商談場面において、自分(自社)が提示した条件が受け入れてもらえず、なかなか話が進まないといった経験をされたことがあるのではないでしょうか。

そして、話を進める為に、相手の条件を受け入れて無事に商談成立としたものの、それを負けたように感じていませんか。

私たちは日々、パートナーや友人、家族と競争しながら生きているわけではありません。人生の大半は競争ではないものの、なぜかビジネスにおける商談場面においては「勝ち負け」で考えてしまう傾向にあります。

そこで今回は、自分とその相手が納得のいく結果をだせる「Win-Win」の関係性の築き方を紹介したいと思います。

win-winとは

win-winとは、交渉者がともに利得を享受できることを指します。

この言葉は、アメリカの経営コンサルタントのスティーブン・リチャーズ・コヴィーが1996年出版の「7つの習慣」で取り上げられることで、世間に広く知られることになりました。自己啓発本の最高峰とも呼ばれる書籍でして、ご存じの方も多いのではないでしょうか。

この本には、人間関係は6つのパラダイムがあると記載されています。

人間関係の6つのパラダイム

(1)Win-Win (自分も勝ち、相手も勝つ)
➤それぞれの当事者が欲しい結果を得ること

(2)Win-Lose(自分が勝ち、相手は負ける)
➤相手を蹴落としてなんぼの世界

(3)Lose-Win(自分が負けて、相手が勝つ)
➤相手が幸せになるならば、自分は常に踏み台でかまわない

(4)Lose-Lose(相手が負けて、自分も負ける)
➤相手に勝たせるくらいなら、足を引っ張って共倒れしたほうがまし

(5)Win(自分の勝ちだけを考える)
➤自分が勝てば相手がどうなろうと知ったことではない

(6)Win-WinまたはNo Deal(妥協するくらいなら白紙に戻す)
➤Win-Winの合意、または取引条件に至らなければ、取引しないことに合意する。

現在、多くの人が持っているパラダイムがWin-Loseだと言われています。ほとんどの人は生まれた時からずっと「勝ち負け」の脚本で育っているため、染み付いてしまった考え方であるとのこと。

例えば、兄ばかりに理解や愛情を注いでいたら、弟は「自分が勝ち、相手が負ける」というWin-Loseを考えるようになるのです。

この考えの危険なところは、価値の判断基準が常に相対的なものであり、他人との比較や周囲からの期待に対する達成度でしか、自分の存在意義を認められないという点にあります。そのため、自分が成長しなくても相手のレベルや要求水準さえ下がれば勝ってしまいますし、またそれでよしとしてしまうパラダイムなのです。

Win-Loseの考えを脱却しようとしても、子ども時代からこのような好戦的な価値観を持って育ってきたわたしたちは、すぐには難しいのです。

では、私たちはどうしたらWin-Winの考えに基づいて行動を変えることができるでしょうか。

コヴィー氏は「Win-Winの原則は、あらゆる人間関係の成功を築くための基礎であり、互いに関連し合う5つの側面でできている」といいます。

だとするならば、この5つの側面を理解することでWin-Winの関係を築けるようになれるのではないでしょうか。

Win-Win5つの側面

Win-Winの前提には、まず人格がありそれによって人間関係が築かれ、そこで協定ができます。合意に至るまでの流れを円滑に進めるためには、Win-Winに基づく構造とシステムが必要です。さらには、プロセスも重要となります。Win-LoseLose-Winのプロセスでは、Win-Winの結果に到達することはできないとコヴィー氏は提言しています。 

1.人格
2.人間関係
3.合意・協定
4.システム
5.プロセス

それでは、側面ごとに詳しく説明していきます。

1.人格

人格は土台であり、Win-Winのパラダイムを身につけるには、以下の人格の3つの特徴を育てなければなりません。

(1)誠実
➤誠実さとは「自分自身に価値を置くこと」です。自分の価値観を明確にし、そこに従い主体的に行動することを指します。

(2)成熟
➤成熟とは、勇気と思いやりのバランスがとれている、つまり「相手の思考や感情に配慮しながら、自分の気持ちや信念をいえること」です。

(3)豊かさマインド
➤この世のすべての人に行きわたるだけのものがたっぷりあるという考え方です。ほとんどの人は、欠乏マインドになっており、物事にはすべて限りがあると思い、自分の取り分がなくなってしまうのではないかと考えてしまいます。

名誉も評判も利益も、何かを決定するプロセスも、人と分かち合えることで可能性や選択、創造力の扉が開かれることを知りましょう。これら3つの特徴を備えた人格は、あらゆる人間関係において、個人主義のテクニックには到底及ばない本物の力を発揮するといいます。

2.人間関係

人格の土台ができたら、その上にWin-Winの人間関係を築いていくことができます。

人間関係の本質は「信頼」にあります。

信頼しあっている関係であれば、相手の性格や立場の違いを遠ざけようとするネガティブなエネルギーが消え、それに代わって協力的なポジティブなエネルギーが生まれ、問題点を徹底的に理解し、お互いのためになる解決策を一緒に見つけることに集中できるようになります。

3.合意協定

人間関係を築ければ、Win-Winの中身を明確にし、そこに至るまでの道筋を示した協定を結ぶことができます。

Win-Winの実行協定では、以下の5つの要素をはっきりと決めることが重要となります。

(1)望む結果
➤いつまでに、何を達成するのか

(2)ガイドライン
➤望む結果を達成するときに守るべき基準

(3)リソース
➤望む結果を達成するために使える人員、資金、技術、組織のサポート

(4)アカウンタビリティ
➤結果を評価する基準、評価する時期

(5)評価の結果
➤達成度合い、貢献度合い、評価の結果としてどうなのか

これらが満たされれば、Win-Winの協定は現実的なものとなり、正式な「実行協定」となります。

4.システム

組織の中はWin-Winを支えるシステムも必要となります。会社の目標と価値観を実現し、組織に根付かせるためには、報奨などのシステムもその目標と価値観に合うものにしなければなりません。

Win-Winの精神は、勝ち負けの環境では決して育ちません。機能するためには社員教育、事業計画策定、コミュニケーション、予算、情報管理、給与体系、すべてのシステムがWin-Winの原則に基づいている必要があります。

5.プロセス

Win-Winの本質はそのプロセスと強い相関関係にあります。解決策にたどり着くために必要な以下の4つのプロセスを踏むことが重要となります。

(プロセス1)問題を相手の立場に立って眺めてみる

   ⇩
(プロセス2)対処すべき本当の問題点や関心ごとを見極める

   ⇩
(プロセス3)どんな結果であれば双方が完全に受け入れられるのかを明確にする

   ⇩
(プロセス4)その結果に到達するための方法として新しい選択肢をみつける

以上がWin-Winの関係を築くための5つの側面でした。

人間関係を成功に導くためにはWin-Winのパラダイムであることはとても重要です。人間社会は、一人では生きていけません。お互いがいなければ物事が成り立たない相互依存関係にあります。そのため、それぞれのパラダイムの中でWin-Winが唯一の実行可能な選択肢となります。

しかし、どんな場合でも正しいわけではないのを忘れないでください。肝心なのは、状況を正しく読み取ってパラダイム使い分けることです。状況次第でどのパラダイムも一番になりうる可能性を忘れず、素敵な人間関係を築いてみてはいかがでしょうか。

 

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