「みんながやる気を出せば、すべてがうまくいく」という信念を抱くマネージャーの姿を見かけることが多いです。しかし、果たして本当にそうでしょうか?やる気だけで組織が動くのでしょうか?今回は、この信念がもたらす結果について考えてみます。
やる気の魔法は存在するのか?
やる気がもたらす一時的な成功
多くのマネージャーは、チームメンバーのやる気を引き出すことが業務の効率化や成果向上につながると信じています。確かに、やる気があるときは生産性が上がり、チーム全体が活気に満ちた雰囲気になります。そのため、やる気を促進するための施策を多く講じることが重視されます。 しかし、やる気の効果は一時的であることが多いのです。特に、外部からの刺激やプレッシャーがなくなると、急速にやる気が失われることが多いのが現実です。例えば、ボーナス支給や評価制度が改善されたときには、チームメンバーが一時的にやる気を出すことがありますが、それが持続するかどうかは別問題です。
やる気がないときの対策不足
「みんながやる気を出せば、すべてがうまくいく」と信じるマネージャーは、やる気が出ない状況に直面したとき、適切な対策を講じることが難しくなります。多くの場合、やる気がない原因を見極めることができず、ただ「頑張れ」と声を掛けるだけで終わってしまうのです。 このアプローチでは、チームメンバーの本当の問題を解決することができません。例えば、業務の負担が重すぎる、スキル不足で自信を失っている、職場環境が悪いなど、やる気が出ない理由は多岐にわたります。しかし、やる気に注目するあまり、これらの根本的な問題を見過ごしてしまうのです。
信念がもたらす組織への悪影響
コミュニケーションの不足
やる気を信じるマネージャーは、チームメンバーとのコミュニケーションが不十分になることがあります。やる気を引き出すための声掛けやモチベーション向上のためのイベントに時間を費やすあまり、日常的なフィードバックや意見交換をおろそかにしてしまうのです。 この結果、チーム内での情報共有が不足し、問題の早期発見や解決が難しくなります。特に、メンバー間の信頼関係が築けないと、一体感を持ったチームを作ることはできません。やる気の信念が、逆にチームの士気を下げる要因となることもあるのです。
過度なプレッシャーの発生
「やる気を出せば結果が出る」というプレッシャーは、逆効果を生むことがあります。この信念を持つマネージャーは、時にはメンバーに対して過度な期待を寄せてしまい、結果としてストレスを与えることになるのです。 メンバーは「やる気を出さなければならない」というプレッシャーにさらされ、逆に萎縮してしまうことがあります。やる気を引き出すための施策が、チームのパフォーマンスを下げる要因となるのは皮肉な現象です。
成功するためのバランスを取る
モチベーションだけでなく、環境を整えることが重要
やる気を引き出すことは大切ですが、それだけでは成功するとは限りません。マネージャーとしては、メンバーのスキル向上や職場環境の改善に目を向ける必要があります。 具体的には、メンバーの意見を積極的に聞き、業務の負担やストレスを軽減する方法を見つけていくことが求められます。また、スキル不足を補うための研修やトレーニングを計画し、成長の機会を与えることも重要です。やる気だけでなく、実際のスキルや環境の整備が、チームの成功に繋がるのです。
フィードバックの重要性
定期的にフィードバックを行い、メンバーの意見を尊重することも忘れてはいけません。やる気を引き出すためには、メンバーが自分の意見やアイデアを自由に表現できる環境を作ることが重要です。 フィードバックは、ただの評価ではなく、成長のための貴重な情報源です。メンバーが自分の仕事がどのように評価されているのかを理解し、必要な改善点を把握することで、やる気を高めることができます。
まとめ
「みんながやる気を出せば、すべてがうまくいく」という信念は、決して間違いではありませんが、それだけでは成功を収めることは難しいのです。やる気を引き出すためには、環境の整備や適切なフィードバックが不可欠です。マネージャーとしては、やる気だけに頼らず、多角的なアプローチでチームの成長を促すことが求められます。信念に縛られず、柔軟な思考でチームを導いていきましょう。
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