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あゝ人材教育!3分ななめ読み

彼を知り己を知れば百戦殆うからず~ストレスとは何かを知り、対処法を考える

2020.09.03

新型コロナウィルスの影響による、様々な変化を迎えている状況で、「ストレスを感じることが多くなった」「ストレスが仕事に影響している」と感じている人も多いのではないでしょうか。自分自身や人材育成の現場でも話題に多くあがっていると感じます。

それでは“ストレス”とは一体何でしょうか。
何となくはわかっているけど、一言で説明するのは難しいかもしれません。

「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」
敵と戦うには相手を理解し、自分を理解することが重要です。
本コラムでは、ストレス状態の発生メカニズムから対処法を紹介します。

ストレスとは何か

ストレスとは、元々は物体の外側からかけられた圧力によって歪みが生じた状態のことを言う物理学の言葉ですが、今ではメンタルヘルスの用語として一般化されています。

個人にとって負担を感じるような事象をストレッサー“(ストレス要因)と呼び、ストレッサーから引き起こされる、情緒不安・身体的症状・行動変化等を”ストレス反応“(ストレス状態)と呼びます。

新型コロナウィルスの影響で、イレギュラーな状況が起きていることが“ストレッサー”となり、焦り・怒り・不安・緊張を感じる“ストレス反応”が起きていると捉えることができます。

ストレス状態を自覚する

ストレス対策は、初期の段階での対処が重要なのですが、見逃しがちでもあります。なぜならば、初期は心身の状態には変化がない場合や、恒常的なストレス状態に慣れてしまっていることが多くあるからです。また、ストレスは一概にネガティブなものではなく、ポジティブな動機付けになることもあります。“逆境を乗り越えて強くなる”という言葉も多く使われるとおりです。

例えば、「緊急なリモートワークの導入」はイレギュラーな事象で、多かれ少なかれ個人にとって負担を感じるような事象でストレッサーであると言えます。その事象に対して、個人のおかれている状況や捉え方、ストレッサーの影響力によってストレス反応が起きない人から強度のストレス状態に陥る人まで様々いるのです。

ストレス状態にある人は、同じ状況下でストレス反応を起こしていない人(起こしていないようにみえているだけの可能性も往々にしてあります)と比較して、不安や葛藤を感じさらにストレス状態が強まってしまうことがあります。

ストレッサーに対して起きるストレス反応は人により様々であることを理解し、比較しない。自分はストレス状態にあるのではないかと認識し、初期の対処をすることが、ストレス社会とも揶揄される現代人には肝要です。

ストレス反応の変化

ストレス状態をいち早く自覚する為に、初期のストレス反応の例を理解しましょう。

感情:不安感・緊張感・焦燥感・イライラ
思考・意欲:解決思考・意欲的または普通の状態
心身の状態:無症状・疲労感・頭痛・軽い睡眠障害・自律神経の乱れなど

多くの人が当てはまる項目があり、恒常的なもので見逃しがちではないでしょうか。
ストレス状態が進行すると健康障害があらわれて休養や治療も必要な状態となり、回復にも時間がかかります。
感情面で抑うつ感、無力感を感じたり、集中力・判断力・意欲の低下が見られたり、重度な睡眠障害・不安障害・適応障害が現れてきている場合は、うつ病などのメンタルヘルス疾患を疑い、適切な治療を受けましょう。

ストレス状態の発生要因を考えれば、誰でもストレス状態に陥ることが考えられます。
「ストレス耐性が強い」と自己認識している人もいるかと思いますが、「何となくなんでも乗り越えられている」と「ストレスを理解して初期対応ができるから、強いストレス状態には陥らない」では全く違います。根性論だけで、乗り切れるものではないと理解しましょう。
そして、メンタルヘルスの不調も誰にでも起こりうるということを認識しましょう。

ストレスへの対処

ストレスへの対処行動をコーピングといいます。ストレスコーピングの具体的な方法は、人それぞれです。
運動をする、旅行にいく、お酒を飲む、読書をする、マッサージを受ける…等。

また、様々に分類をすることができますが、今回はストレッサーに対しての対応方法での分類をあげてみます。

  • 問題焦点型コーピング ・・・ ストレッサー自体を取り除くこと、解決させること
  • 情動焦点型コーピング ・・・ ストレッサーによって引き起こされた情緒不安定などを低減させること

ストレスへの対処をしようと考えた時に、上記が混在していることはありませんか。

例えば、「残業が多い」ことがストレッサーとなっている時に、問題焦点型コーピングは残業をなくすことを対処法として考えます。ストレッサーの根本解決という意味では、確実な方法です。しかし、実際に残業が多い状態は一昼夜で解決できる問題ではないと考えらえます。問題解決に気を取られてしまい、心身が消耗してしまうことは時にストレス状態を悪化させてしまいます。

睡眠時間を確保する、好きなことをして気分を紛らわすなどの情動焦点型コーピングも適宜行いながらストレスに対処をしていきます。
逆に、情動焦点型コーピングだけではストレスへ対処することができない、メンタルヘルス疾患のおそれがあると感じたら、問題焦点型コーピングを行う必要もあります。

自分ひとりではどうにもできないと感じる仕事や企業内の事象がストレッサーとなっている場合は、自分のメンタルヘルスを保つために、その場を離れる(配置転換の要求や転職など)ことも一個人の選択としては不可避です。

一方で、企業としてはできるだけ避けたい選択肢(特に転職)であるのが実情と考えられます。ストレス状態発生のメカニズムを理解し、企業として、人事として、上司として、サポートをしていくことが求められます。ストレス状態は絶えず発生しているものと捉え、対策をしていきたいものです。

ストレス状態の発生メカニズムから対処法について、改めて考える機会となりましたでしょうか。

「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」
自分の目には見えない魔物と戦っていくために、相手と自分を十分に理解していきましょう。

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