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お客様の声

学生から社会人へのシフトチェンジ、課題を見つけてクリアする一連の流れを実現していく

2018.07.12

株式会社 東急ハンズ
川口 純奈(総務部 人事グループ)
株式会社 東急ハンズ

〒160-0022
東京都新宿区新宿6-27-30 新宿イーストサイドスクエア 3F
https://www.tokyu-hands.co.jp/

1976年設立。お客様の暮らしに根ざしたベーシックな商品をはじめ、多様なご要望にお応えするための商品を幅広く取り揃えている。この豊富な素材こそが「ハンズの商品力」であり、ハンズならではのモノやアイデアを発見するよろこびをお客様一人ひとりに提供している。ブランドステートメントは、いまのあなたにとっての「ヒント・マーケット」。

自ら考え、責任と熱意を持って仲間と協業できる人材

御社についてお聞かせください。
川口
「お客様の生活文化の創造をお手伝いする」ことが当社の企業理念です。約40年前に、東急不動産のチャレンジ事業として東急ハンズが発足しました。東急不動産は、家を売るのが仕事ですが、東急ハンズでは、その先のお客様の生活を創り出すことを目的としています。お客様が、東急ハンズで新しい発見・発想と出会い、暮らしを創り出すヒントを見つけていただくお手伝いをするのが、私たちの仕事です。ペンを一本買うにも、欲しいから買うことはもちろんですが、このペンで何をしたいのか、といったお客様のその先にあるものをとても大切にしています。当社ではこれを「ヒント・マーケット」と呼んでいます。また、当社のロゴは「手の復権」がテーマになっており、「手で新たなものを創造しよう」というコンセプトにも通じています。
求める人材像をお聞かせください。
川口
当社では様々なことに好奇心をもって取り組み、自ら考え、責任と熱意を持って行動できる人材を求めています。東急ハンズはハンズ業態だけで50店舗(FC含む)あり、店舗ごとに仕入れや品揃えも異なります。社員一人ひとりからの積極的な意見や提案が必要となるため、ルーチンワークをこなすだけではなく、自分から情報を集め発信し、仲間と協力しながら行動に移せる人を理想の人材像として掲げています。
私は、契約社員として東急ハンズに入社しました。入社当時、好奇心はありましたが、正直、自ら考え行動することはあまりなかったと思います。しかし、契約社員とはいえ、裁量の幅が非常に広く、自分から積極的に取り組まなくてはいけないことに気付きました。一年ほど経った頃から、自分の仕事ではないところも、自ら率先して行い、自発的に仕事を覚えていくようになりましたね。契約社員の頃は、与えられた仕事を間違いなくこなすことが責務だと思っていましたが、正社員になると、全体をマネジメントする立場に変わり、店舗のことだけでなく、東急ハンズとしてどうあるべきかといったことも考えるため、より仕事に責任をもって取り組むようになりましたね。
どのように仕事を覚えていったのでしょうか?
川口
リーダーや先輩方の働きぶりを観察する、人事グループに配属されてからは年上の方と接する機会が増え、社長や役員、室部部長のお話を聞くことも大きな刺激になりました。また正社員登用後の研修で、社会人としての基礎も改めて学びました。
最近の新人・若手社員の印象を教えてください。
川口
私は2016年から新入社員を見ていますが、東急ハンズが求める人材のごとく、素直で明るく元気な方が多いです。また良くも悪くも、みんなと同じが嬉しいといったような協調性が非常に強い社員が増えてきた印象があります。その一方で、研修で質問がなかなか出ない、遠慮をして意見を言えない様子などが見られ、自分の思いや考えを発言する力が弱くなっていると思います。そうした傾向を考慮して、特に研修では安心で安全な場づくりを意識しています。例えば、研修内で出た意見は他の場で公言しないこと、どんなに些細なことでも話していいことを最初に伝えています。そうすると、少しずつ勢いがついてきますね。
当社では、四月に実施する研修が新入社員にとって最初の仕事になります。研修は全員でつくるものだと伝えていますが、全体的に指示を待つ受け身の姿勢があります。また、次に何をしなくてはいけないのか、考える前に答えを求めてしまうのも、最近見えてきた傾向だと思います。仕事には正解がないと認識して入社しているものの、どこかで正解があることを期待しているように感じます。そして、失敗することを非常に怖がりますね。失敗したくないがために、慎重すぎる程に下準備をする人もいます。書類一枚記入するにも、下書きのための下書きをするような感覚ですね。

育成計画シートで段階的にステップアップできる仕組み

新人・若手社員の育成計画を教えてください。
川口
学生から社会人へのシフトチェンジ、ビジネスマナーの学びと実行、課題を見つけてクリアしていくという一連の流れを実現していく為に、一年間を5つのステップに分けた「育成計画シート」(図参照)を活用しています。まず、新入社員には、新入社員・チームメンバーの仕事は、チームの一員としてリーダーを補佐し、一丸となって成果を発揮していくことだと伝えます。その後、半年間はOJTトレーナーがついて指導をしていきます。

当社は二、三年に一度キャリアローテーション異動があり、ずっと同じ部署にいることはあまりありません。この育成計画は、最初の一年間できちんと自律した人間になってもらうことを目標として、二年前に導入しました。異動は、店舗、管理部門、法人営業、バイヤーなど、とにかく全く違う部署に配属されることもあります。しかし、東急ハンズの全体像を把握してもらい、多種多様な仕事をすることで経験を積んでもらえるという意味で必要なことですね。
育成計画の評価や振り返りはどのように実施されていますか?
川口
ステップ毎に業務習得チェックシートを記入させ、「挨拶はできているな」「この仕事はまだ課題だな」といった具合に、自己評価をしてもらいます。さらにOJTトレーナーからも評価してもらい、自己評価との相違を可視化し、事実関係を確認しながら育成計画を進めていきます。自己評価をすることで、ステップ毎に自分の立ち位置がわかり、同期同士で比較して切磋琢磨することも多いようです。もちろん、店舗ごとに覚える内容は異なるため、単純に比較することはできませんが、自分だけ未経験の業務があるとわかると、自らトレーナーに教わりにいくなど、自発的に行動する人も出てきます。一年間での仕事量はとても多いですが、ステップ5の時点で、今の自分の課題を見極め、二年目以降に繋げています。
この取り組みを始めたきっかけは何だったのでしょうか?
川口
新入社員から、自分たちの目指すところがわからないと言われたことがきっかけでした。部署ごとに目標を掲げ、達成に向けて取り組んでいるものの、新入社員の教育に関して、トレーナーや管理職からも、本社は何を求めているのかという声があがりました。方針が社員に伝わっていない現状を変えるために、ステップ5までの育成計画を導入しました。実は、このシート自体は以前に実施していたものをニ年前に復活させたものなのです。復活させるにあたり、いまの状況に必要なものを落とし込んでいきました。導入以前の社員は、この計画シートがあれば、自分たちの現状をもっと把握できたと、今の新入社員を非常に羨ましがっていますね。また、ステップ毎に分けて計画を立てることで、目指すべき大きな目標に対する焦りも少なくなっているように思います。人事としても、店舗ごとの教育事情や、新入社員の成長を個々にチェックできるようになったことは大きいですね。育成計画を導入してまだ二年目のため、ステップ毎の内容の見直しや、研修への組み立てという観点では、まだまだ改善の余地があると思っています。
育成計画が終わったあと、二年目以降はフォローがあるのでしょうか?
川口
現状二年目以降は、こういった育成計画はなく、等級ごとに必要とされるスキルの提示のみです。以前に、入社から異動までの約三年間を視野にいれた育成計画の話が出たのですが、管理面で課題があり、まだ実現に至っていません。しかし、ゆくゆくは自分がこれまでやってきた業務や培った能力などを異動先にしっかり引き継げるものとして、何か形になるものを制作したいと考えています。
人事が店舗の巡回をして、直接社員に話しかけることもあるため、このシートのおかげで、具体的にその社員の仕事や目標に寄り添った声がけができるようになりました。
トレーナー側の状況も把握できるので、そうした活用もしていますね。今後は、他の面でも活かせるように方法を考えていきたいです。

社会人としての仕事の在り方を認識して欲しい

今後に向けての取り組みを教えてください。
川口
私たちの世代は、観察して覚えるという精神がまだ残っていますが、今の新入社員には、それが通じないため、これまでの教育方法を変えていかなくてはいけないと思っています。何かを覚えるときはマニュアルがないと不安な様子で、寄り添って教えていくことが大事になると感じています。当社では新卒採用を行っていなかった時期があったため、30代の社員が少なく、トレーナーになる社員は主に入社数年の若手か、40代・50代です。そこに大きな世代間ギャップが生じてしまうこともあります。双方に研修を行っていますが、その中でお互いの考えの相違をさらに伝えていく必要があります。研修を通して、若手の考えを初めて理解し、今までの違和感に納得するトレーナーも多いですね。しかし、実際に店舗で仕事をするとなれば、当然お客様が一番優先のため、トレーナーがいつでも手取り足取り教えるわけにはいきません。「もっと丁寧に教えてもらえると思っていた」「放置されている」といった声が例年新入社員からあがるため、特にここ一、二年は、常に誰かが側にいて教えてくれるわけではないとしっかり伝えています。これが社会人の仕事の在り方だと認識してほしいですね。

また人事グループでは、社会人としての教育を重要視しており、コミュニケーションやリーダーシップなどの研修に力を入れていますが、店舗の人員不足によって物理的に研修に割ける時間が少なくなっています。二年目、三年目ともなると、店舗に気持ちが向くため、時間を割いて研修をして何の意味があるのかという気持ちが出てくる傾向にあります。そうすると研修に対するモチベーションも下がってしまうため、これを防ぐ方法を模索していきたいですね。研修を受けたことによって出た成果をしっかり測定し、研修の必要性を浸透させることが大切なことだと考えています。
川口 純奈(かわぐち じゅんな)
総務部 人事グループ

2011年 11月 株式会社 東急ハンズに契約社員で入社 ららぽーと豊洲店 管理グループにて勤務(庶務会計)
2015年 9月 社内採用社員登用制度にて社員へと昇格
2015年 10月 ららぽーと豊洲店 フロアにて勤務(ハウスウェア)
2016年 4月 本社 総務部人事グループ 研修担当

※経歴は、インタビュー時のものです。

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