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インクルーシブ・リーダーシップが組織力向上に求められる理由

2023.12.23

これまでのリーダーシップと異なり、近年注目を集めているインクルーシブ・リーダーシップ。組織力向上に有効なリーダーシップとして認知を高めていますが、なぜ、通常のリーダーシップではなくインクルーシブ・リーダーシップが求められているのでしょうか。 その理由を詳しく見ていきましょう。

インクルーシブ・リーダーシップとは?

インクルーシブ・リーダーシップは、一人ひとりが既に持っているリーダーとしての素質を引き出し、全員で組織力を向上させようとするリーダーシップを指します。 直訳すると「包括的な」という意味を持つインクルーシブ(inclusive)には、様々な価値観を包含するという意味が込められています。インクルーシブ・リーダーシップは言葉通り、多様な価値観を包含したリーダーシップを意味するのです。

今、求められている組織とは

インクルーシブ・リーダーシップが組織力向上に必要とされる理由をご紹介する前に、現在どのような組織作りが求められているのかを確認していきましょう。 現在、多くの企業ではダイバーシティ&インクルージョンが求められるようになっています。 ダイバーシティとは、直訳すると「多様性」を意味します。女性活躍をはじめ、マイノリティに該当する人々との共存など、様々な価値観を認めようとする動きが進んだことで、ダイバーシティは広く認知される言葉となりました。 しかし、ダイバーシティが進んでいく中で、ダイバーシティだけでは足りないという考え方も一般化しました。そこで重要視されているのがインクルージョンです。ダイバーシティとして認めた多様性をただ認めるだけでなく、個々人が受容していくことの重要性が問われています。 今求められている組織は、ダイバーシティに留まらず、インクルージョンの考え方をも実現することができる組織なのです。

インクルーシブ・リーダーシップが組織力向上に求められる理由

では、ダイバーシティ&インクルージョンの組織を実現するために、なぜインクルーシブ・リーダーシップが必要なのでしょうか。その理由を幾つかご紹介しましょう。

VUCA時代に必要不可欠な考え方

まず、大前提として現代社会が置かれている現状が挙げられます。 多くの企業がダイバーシティ&インクルージョンを目指す一方で、世の中はVUCA時代と呼ばれる不確実性が強い世の中になっています。VUCA時代に対応しながら組織力を向上していくためには、インクルーシブ・リーダーシップは必要不可欠な考え方です。 VUCAとは、変動制を意味する「Volatility」、不確実性を意味する「Uncertainty」、複雑性を意味する「Complexity」、曖昧性を意味する「Ambiguity」の頭文字を取って付けられた言葉です。 2016年に開催された世界経済フォーラム、通称ダボス会議で世界共通の認識として浸透し、日本社会のみならず、全世界がVUCA時代という認識の元様々なビジネスを展開しています。

VUCA時代とインクルーシブ・リーダーシップ

現に新型コロナウイルス感染症は、世界は甚大な影響を及ぼしました。2020年当初には想像すらできなかった状況が世界に拡大したことで、大きなビジネス転換を求められた企業は少なくありません。 従来のリーダーシップでは、画一的な業務をスムーズに進めるためのノウハウが詰まっていたことに対して、インクルーシブ・リーダーシップは従業員それぞれの個性を尊重することができます。 時代の変化に対応するためには、様々な価値観に柔軟に対応しながら、先見の明を養っていくことが大切です。この視点を元に、リーダーが役割を果たしながら組織力を向上していくためには、インクルーシブ・リーダーシップは必要不可欠なのです。

個々人に行動を促すことができる

インクルーシブ・リーダーシップは、リーダーが部下を手取り足取り指導する方法とは異なります。個々人のリーダーシップを見つけ、発揮させることが求められるリーダーシップのため、従業員それぞれとのコミュニケーションが非常に重要です。 しかし、個々人のリーダーシップを見つけたあとは、従業員一人ひとりの自発的な行動が求められます。全ての業務指示をリーダーがするということはまずなく、最適解をそれぞれが見つけながら、積極的な行動をしていくことが求められます。 あくまでもインクルーシブ・リーダーシップを持つリーダーが行うことは、それぞれが多様な価値観の元で行動を行う土壌を整えることです。結果的に従業員個々人が積極的に行動することで、組織全体が活性化します。また、自身の意思で仕事を行うことができているという視点は、組織への帰属意識ももたらします。 結果として、組織全体の組織力向上に役立つことができるのです。

従業員の精神的安全性を確保しやすい

インクルーシブ・リーダーシップの最大の強みとも言える特徴は、平等性です。年次や役職に関わらず、平等な対応を行うことを前提としたリーダーシップのため、いわゆるえこひいきのような上司・部下の関係性とは無縁です。 自身が平等性の中で評価されていることが分かれば、従業員は弱みを出しやすくなります。また、健全な不満や意見を上司や同僚に伝えやすくもなるでしょう。結果として、モヤモヤした空気が組織に残ることなく、従業員それぞれが健全な状態で業務に臨むことができます。 また、平等性が担保されていれば、評価の際にも不平や不満を抱くことが少なくなります。正当に評価されているということが分かれば、やる気をきちんと持ちながら、良いパフォーマンスを発揮しようと業務に励むことができます。 結果として組織力としては強くなり、組織全体のパフォーマンス向上が期待できるのです。

まとめ

VUCA時代のごとく、時代が日々大きく変動する中で、インクルーシブ・リーダーシップはリーダーとなる人が認識しておくべき考え方だと言えるでしょう。 組織力は短い期間では決して強くなりません。インクルーシブ・リーダーシップの強みを理解しながら、組織力向上に役立てていきましょう。

 

 

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